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さて、またやって参りましたMTOCのドラフトですが、正直これは二つを見比べてもどちらが古いドラフトなの他の物に比べてわかりづらいです。

MTOCは情報の量が量ですから、メインライター一人で書いているわけではなくて、パートによってはその専門の人が書いていたりします。
初版のRAF GreatcoatはPercival Thickettさんが担当しております。これまた有名な方ですよ。私の知っている限りですと、PKTCPG(Pocket Edition of The Cutter's Practical Guide)のVincentさんの次にメインエディターになったのがThickettさんです。Morrisさんの前任者ということですね。
MTOC4版のこのパートはメインエディターのWhifeさんが担当しております。
上が初版で、下が4版です。
私は仕事柄(多分に趣味性も含んでおります)、この写真だけを見ても下はWhifeさんっぽいなぁ〜っと見当がつくのですが、一般の方や普通のテーラーのプロが見ても時代を特定するのは難しいと思いますから、できなくてもそう悲観しないでください。
一つだけ言ってしまうと、上のフロントダーツをこのアングルで取るドラフトはあまり見ないでしょうから、古いモノかもしれないなぁ〜っと予想を立てることはできるのですけどね。




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これは65年のPKTCPG20版から。先のMorrisさんのものですが、どうでしょうか?
正直上の4版のモノと変わらないですよね?どうですか?

"いやいや、違いがわかりますよ〜"っという強者もいらっしゃるのでしょうか?



これはですね、わかるはずないのですよ。
両方ともWhifeさんが書いた同じドラフトですからね。(引っかけ問題でした。意地が悪いですよねぇ〜。といいますか、こんな駄問が成り立つのがSRCですよね〜。こんな設問に一喜一憂する人が一人でも存在するのでしょうかね?笑)

ツワモノ、、、、しかし情弱!!!

(↑ バキのナレーションが聞こえた方は脳筋型、カイジが出てきた方は<<悲しいくらいに、生まれつき被食者!!!>>。 "しかし情弱ッッッ!!!" の場合はJoJoで間違いありません。)


とりあえず実はこのMorrisさんのPKTCPGではService UniformのパートはWhifeさんが担当しております。
ですから、同じモノです。(ほぼコピペですよ)

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せっかくなのでRAF Officer Warm Coat、下の説明にあるように、アーミーブリティッシュ・ウォームとほとんど変わりません。色とボタンくらいなモノです。
私はこのミリタリーのウォームコートに関しましてはやはり、レザーボタンが好きですから、アーミーのモノが好みですね。

さてさて、こんな感じでブリティッシュ・ミリタリーのグレートコートを紹介してきましたが、皆さんはどういった印象を受けたでしょうか?

いろいろなコートがあるなぁ〜っと感じたでしょうか?
実は逆ですよ。
日本で仕立てるオーヴァーコートはポロコートをラグランスリーブにするかセットインにするか、その色をどうするか、生地はカシミアにアップグレードするか?くらいしか売る方もアイディアがないわけですから、その方が異常なわけですよ。
しかしながら今ではビスポークのオーヴァーコート自体が非常に限られたマーケットであるためにその中でヴァリエーションが豊富であることの方が不自然かもしれませんけどね。

枕詞に"クラシック"や、"スタイル"がつくようなブランドはインスタグラムやその他のスナップで見る限りは正直ブランドタグ以外、一切代わり映えしない画一的なモノになりがちですよね。それは仕方がないのですが、(※それでなくてもニーズの少ないオーヴァーコートのなかでもトリッキーなディテール、カッティングのモノは既製品のようなマスでは商売にならない)ビスポークでは"体にフィットするモノ"という特徴以外に唯一無二のオーダーができるというのも本来の楽しみのはずなのですよね。
そしてオーヴァーコートはスーツ以上に自由度が高いですから、どんどん遊びの効いたオーダーを楽しんでもらいたいですね。

今はフルビスポーク以外の簡易オーダーサービスも増えているようですが、そのようなサービスでは真似ができない、そういったオーヴァーコートはビスポークテーラーの特権的なモノなものなのですよね、本来。

それこそ、本当にVincentさんのカナディアン グレートコートを付き合いのあるテーラーさんと相談して本気で作るのも良いでしょう。(きっとレクサスを買えるくらいの金額になるかもしれませんが、あなたの周りのみんなが乗っているレクサスを、しかも2台目を購入するのなら、それを我慢してコートを作るのも一興でしょう。)

今はいろいろな所から様々な年代のヴィジュアルイメージを見て、簡単にインスピレーションをいただける時代になりましたが、"こんなコートほしいなぁ〜"
っと思ってもショップには並んでいない。そういった時こそビスポークしてもらいたい。

"オーダーメイド" と言うことばに踊らされても、結局決められた型のコートの生地を選ぶだけ、そしてチェストとウエスト、スリーブレングスを計って、あとはコートレングスを決めるのでしょうか? プレオーダーの既製品と何ら変わりがないわけですよね。
いろいろ小難しく細かく採寸して出した数字も簡易オーダーでは結局ほとんど必要なかったりします。一応一番近いゲージを選ぶための目安にはなっているとは思いますが、パターンをゼロからドラフトしないのであれば細かい数字にはたいして意味はないですよね。一種の"テーラーメイド" が生んだパフォーマンスといいましょうかね。
そういった簡易テーラーの本格派パフォーマンスも大事だとは思いますよ、お客さんは雰囲気にもお金を払うのですからね。もちろんこういったことがテーラーに限ったことではないのは皆さんご存じでしょう。

一応断っておきますと、これはディスではなくて、Made To MeasureなどとBespokeの根本的な違いを説明しているだけのことなのです。

欲しい洋服がお店に並んでいないから注文する。無論、そこにはテーラーとの話し合いが必要になる="Bespokeする"という事ですよね。

"MTMとBespokeのちがいは○○で××だから全然違うのよ〜" 確かにそれもそうなんですよね。
型紙を一から作るであるとか、芯地を一から手で作るであるとか、ここは手で仕上げられてあるとか、色々細かい違いは確かに多々あるのですけど、もっとも根本的なことをわすれがちかもしれません。

今は"洋服"と簡単に言っても100年前とは勝手が全然違いますから、我々テーラーが作れるモノは非常に限られているように思いますが、それでも探せばまだまだいろいろなガーメントがありますし、逆に今現在だからこそ流通の関係で逆に生産ができないガーメントもあるのですよ。
もしもそういった欲しくても見つからない洋服があるのなら、ビスポークテーラーを訪ねてみてはどうでしょうか?
ただただ高価なだけの時代錯誤なスーツを作るのがビスポークテーラーではないのですよね。

SRCが洋服好きな人達に新しいインスピレーションを与えられれば幸いです。

そしてオーヴァーコートは本当はラウンジジャケット以上に懐の深いガーメントであることを皆様に知って貰えればいいですね。

オーヴァーコートに関しては今後よりその沼の深部を探っていくことといたしましょう。