サルトでは現在、ご予約なしのご来店や直近のご予約ではご案内が出来ない場合が多くございます。できる限り、事前のご予約をお願いいたします。

SARTO

  • サルト_instagram
  • サルト_facebook

column



グレートコート、いやはやようやくここまで辿り着いたのですよね。
言ってしまえば、オーヴァーコートの親玉といいますか、ラスボス的な感じがありますからね。
客観的に私の10選を振り返りまして、やっぱり最後はグレートコートで正解だったのではないかなぁ〜っと思ってみたりします。
皆様だったら、真剣に考えて最後の10着目に何を選びますか?
意外と大変なんですよ。
アメカジ、またはクラシコのエキスパートのひとであればどういった10着を選んでいたでしょうかね?
もちろんフランスやワークウェアに詳しい人の10選もまた変わってくるでしょうね〜
寧ろ一般の大学生が適当に選んだ10選でも良いんですよね。興味ありますよね〜
もしくは全然異論など無いという方も多いのでしょうか? 結構完成度は高いと自画自賛しておりますからね。

納得のいっていない人は "♯私の20世紀傑作コート10選" のハッシュタグで主張のほうよろしくお願いいたします。気が向いたらググりたいと思いますが、誹謗中傷は心が痛みますので避けてくれれば助かります。

お世話になっております、をさないです。

前回にも話したとおり、このグレートコートの理解を深めて行きたいと思います。まずはじめはアーミーのグレートコートから始めてみましょう。

サルト

サルト

はじめは前回も紹介したNo1からにいたしましょう。ナンバー1と言っているくらいですからね。
これらの写真はおなじみのMTOC第4版からです。ですのでWW2後の出版になります。49年ですね。そして50年に増刷されます。今後詳しくやりますが(何度も言っていますが、本当に2019年すぐにやります。)、第3版までは戦前のもので、4版とは著者が違いますから、実際、4版は別物という扱いになります。
前回の紹介したコートはオリジナルの1940年製、WW2戦中のものですけども、ほとんど本とディテールが同じなのが見て取れると思います。
もちろん、ディテールは同じでもブランドによっては作り込みは全然違いますから、そういった意味では今のジャケットと同じです。
さすがにメイフェアでどっしりと腰を据えて軍服作っているようなメーカーのものは他と違って当然でしょうかね。工程が多いとそれだけ違いも大きくなるでしょうね。

パターンを見たらわかりやすいですけど、脇下ダーツの所にあるのは"ソード・スリット"と呼ばれるものです。その名の通りです。

そして、手に持っている棒ですが、これは"スワッガー・スティック"と呼ばれるモノです。

サルト

これがグレートコートのオルタナティブ・モデル。
襟がコンヴァーティッドのモデルです。
今の通常のオーヴァーコートはラペル型が基本形で、ランサー型(上までしっかり閉めるダブル)オンリーのものは流通していないでしょうし、まぁ、売れないでしょうね。
No1の方がよりフォーマルなのが伝わりますでしょうか?

サルト

サルト

続いてはこちらのアーミーグレートコート。
見たらディテール等の違いは一目瞭然なのですが、そもそも根本的に何が違うかわかりますか?

これは年代が違うんです。

上の二つは1928年の初版のMTOCからです。ですのでWW1とWW2の間のモノというわけですね。
ちなみに、私が持っている初版のMTOCはもちろんオリジナルのモノですが、2000年に入ってから、私のしっている限り2度ほどこの初版A S BridglandさんのMTOCは復刻(厳密には単なるリプリント)されております。
そういった意味や、実際に今でも使える資料としてはA A Whifeさんの第4版がより実践向き且つオリジナルしか流通していないという理由で人気ですね。


年代の違う上のコートと下のコート、本の紙質であるとか、ディテールとかではなく、ダイアグラムを見ただけでプロなら一瞬で下のコートが明らかに古いのがわかるのですが、一般消費者でわかる方はいますかねぇ?
もしいるなら、行き過ぎていますから、リアルの友達とキャバクラにでも遊びに行った方が良いのではないですか?
しっかり女性と話せますか? 私はちょっと心配ですよ。
ファッションが好きでも普通は知らなくて良いことです。

一度、"僕ファッションすごく詳しいんでぇ〜、何でも聞いてください〜!" みたいな状況に出くわしてしまったのですが、蓋を開けてみれば、今流行のブランド名とデザイナーの名前を知っているというオチだったんですよね。

これでも実は真理ですよね。流行のブランドに詳しいことの方が明らかにファッションやっているわけですよ。
若者に受けているものを知っていることの方が実際有意義ですよ。

"上のダイアグラムではこれがこうだから20世紀前半のパーターンメイキングを完全に踏襲している古いタイプのモノですね。"

こんなことキャバクラで喋ったら駄目ですよ。完全に痛いやつですからね。

製造業に携わっていた80才以上のイギリス人が集まるコンパでももしかしたら引き無いですよ。

こんなものは縫製世界の片隅でコミュ障こじらせた人間が到達することです。

周りの人から "あいつまた一人で本読んでるよ〜、今日の飲み会には呼んでも来ないだろうし、ほっとこうぜ〜" といわれるタイプですよ。
まだ、その本が村上春樹や、その他文学賞を取った有名な作家さんの小説であれば救いようがあるのですけども、それがアンティークの洋書だったら、ゾッとしてしまいますよね。しかも小説ではなく、実践書。

私はそんなあなたのことを愛していますけど、キャバ嬢はあなたのこと嫌いですよ。間違いなく。

サルト

これは60年代に入ってからのグレートコート。
Tailor & Cutter社のポケットエディション Cutters Practical Guideから。
こういった本も詳しく後々やりますから、安心してください。まぁ、いつになるかわかりませんから、簡単におはなししますと、有名なバイブルとも言われるCPG(実際CPGとかCPG Systemとかいわれますよ。基本アンティークです。)にはポケットエディションと言って、すごく小さい本があります。もう写真の通り、余計な情報は一切無く、ダイアグラムと製図法のみです。
こういったモノが実際は一番現場では使われたりもします。
私がまだ学生だった頃に、現アンダーソン&シェパードのヘッドカッターと工房でカッティングのお話をしていた時でした。私は日本の本をそのときは持っていたので、そのダイアグラムについて簡単な質問等をしていたのですね。そのとき彼に紹介されたのも、こういったポケットエディションCPGでした。(彼の持っていたものが第何版であったのかは不明ではありますが、)
カッターであれば、一冊はそばにあるモノと言って過言ではないでしょう。今の若いカッターのことは知りませんがね。
ポケットエディションは本に製造年が書かれていないものがほとんどなのですが、実は、こういった古いファッションの技術書のコレクターのための本というのがありまして(笑、そして、その本自体もコレクターズブックになっているという無限ループ。地獄沼。)それには、1954年に第18版が出版されて、19版が60年、20版が65年に出版されているとなっていまして、それ以降の情報がないのですよね。
ちなみに著者はMorrisさん(15版からはすでにモリスさん名になっているようです。)
このお見せしているPKTCPGは第20版なので65年の最後のエディションかもわかりません。
70年代に入ってT&Cがすぐに無くなりますから、まぁわからなくもないと言った具合ですよね。
ちなみに、年代によってメイン著者が違いますが、オリジナルはヴィンセントさんになります。
今手元にはヴィンセントさんのPKTCPG第7版もあります。

この65年のグレートコートですが、MTOC4版のWhifeさんのとあまり変わりなく見えますよね。
実はPKTCPG20版のミリタリーのパートだけはWhifeさんが担当しているからなのですよ。

>>>>>>>>>>>>>次回へ