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column

前回から>>>>



ロゴビジネスを支えているのが社会現象である"インスタ映え"と呼ばれるSNSコミュニケーションだといわれておりました。
前の、"価値のないモノにつけるロゴ"とは少し嗜好は違ったロゴの使い方ですけど、大枠では同じようなモノでしょう。ロゴをでかくすれば高く売れるわけですからね。

分かりやすければ分かりやすいほど拡散しやすいという理由もあったようです。
後は、ノームコア、アノニマスファションからの反動も多分にあったのでしょうね。
この辺りも色々なところで論じられていたためご存じの方も多いでしょう。
2010年代は前半と後半でこのように極端な性格が見受けられるためドラマチックで面白いかもしれませんね。

インスタグラムの流行はファッション業界の広告のあり方が変わったとまで言われるほどでした。そういった広告のシフトチェンジもある種このロゴビジネスはスムーズにその波に乗ったように思います。

しかしその形態も今では少々古くさいのかもしれません。
インフルエンサーとステマ。結局は"誰かにアイテムを宣伝してもらう"という昔からある既存の戦略です。スタイリストと仲良くなってテレビ番組で有名人に着てもらうというアイディアとさほど変わりませんからね。
有名人がアメーバブログでステマするのと結局同じ事をインスタでやっているだけで、結局、所が変わっただけのように見えます。

今の瞬間拡散型情報社会に住む我々にはそういった売る側の思惑が簡単に伝わってしまう。そして結局ネガキャンになってしまうのです。
売る側にしてみれば、瞬間最大風速だけ出せれば、すぐに潰して、また新しいモノを同じ戦略で売って潰してを繰り返せばいいだけですけど、使われたタレントのイメージは回復に時間が掛かるでしょうからね。マカを育てる畑みたいなモノですよ。

そして "俺(私)のラグジュアリーな生活を見てくれ!"が完全にアレルゲンになってしまっているのですよね。

こういった今の社会の傾向に閉塞感が出てくると次のモノが必要になってきます。

それで生まれたもう一つの流れが<安良い>。

ようやく、ここまで来ましたね。

これは、リッチな人がこれ見よがしにラグジュアリーなアイテムにユニクロやギャップ、GUなど安いアイテムをミックスさせて大衆に"ワカッテマス"をアピールするハイ・ローミクスチャーではなく、これ見よがしなインスタでロゴを見せつけてくるラグジュアリーブランドを身につけるセレブに対するアレルギーからくるものなのでしょう。
大衆はそういったこれ見よがしなセレブリティ、"これみよセレブ"にどうしてもネガティブな感情を抱くわけです。
例を挙げるのも憚りますけれども、LVxシュプのシャツを着た浜なんとかさんやジャスティン・ビーなんとかさんは完全にLose×Loseの関係にさえ見えました。

LVxシュプリームは話題も良かったですし、どんなアイテムができあがるのかもワクワクしましたが、買えば売り手も買い手も損をするという非常にレアな現象を生みましたよね。このレアな現象自体に価値がある気すらしますよね。

まぁ、とりあえず結局これらがラグジュアリーブランド=ダサイに脳内で変換されてしまうのでしょうね。

しかしすべてのセレブは感度が低いわけではなくて、人によってはどうやら、そういったアレルギーを持っている人達がいるのを知っているために、例えばバレンシアガのデムナがコピーしたアイテムのオリジナルの全く価値のない安い方(ロゴ無しの方)を敢えて使ったりするわけです。

それがまた逆に大衆側に拡散されて、もうファッションでも何でもない安いモノを普通に使うという文字通り一周した現象がこの<安良い>な分けですね。
俗に言う"Cheap Chic" (チープシーク、チープシック)ですから、Neo Cheap Chic現象ですかね。格好良く言いますと。
おばちゃんが買い物に使うエコバッグが逆に高感度セレブも使う今注目のアイテム化してしまうわけです。
スーパーで10pの大きなTESCOと入っているビニールのショッピングバッグにシャネルの財布入れてメイフェアでも歩けばいっちょあがりです。
どれだけ落差を出すかがポイントになります。
ユニクロなんか高価すぎますね。

私なんかは逆に丁度周回おくれの廃人タイプですから、郵便物が届いて中のモノを取り出し、その茶色い厚手の封筒に財布やら鍵やらつっこんで街まで買い物に出かけたのはいいものの、身につけているもの全部そんな感じだったものですから、結局落差ゼロだったりしますからね。イギリスにワンカップオーゼキ売って無くて良かったですよ、本当に。封筒にでっかく自分の住所と名前が書かれているモノだから、"コレ、私のロゴです。"ってバカヤロー! (←これ90年代で一番面白いパターンのヤツです。30代後半以降の人がクスッとしてもらえればうれしいのですけど、20代には一周して面白すぎたでしょうか?)

ここまで来るとやっぱりファッション(と、ビートたけし)は面白いなぁっと思いますよ。

コレを仕掛けたのが、結局は今のバレンシアガのデムナ(と、テリー伊藤)と言うことになるのでしょうね。

いわゆるデムナがやっていることは下流から上流のシンプルなショック戦術なのですけど、巧みですよね。
今の世の中でのバズり方をしっかり計算しているように思います。
前にも言いましたが、インスタでのステマは今ではネガキャンにしかならないわけですし、有名人やインフルエンサー着用の謳い文句も古いのでしょう。用法用量を間違えますと致死量なわけです。逆にダサさの象徴にもなりかねない。

デムナはそんなかりそめのセレブリティ商法よりもアート的文脈の上で仕事をしているのかもしれません。

やはりいつの時代もそのシーンを作るのは新鮮な驚きなのだと思います。フォービズム、キュービズム、ダダイズム、シュールレリズム、今のバレンシアガはデュシャンの泉のようなアプローチにも見えます。

そしてパリのファッションショーでは、まるで2chで "こんなの作ってみたけどどうwwwwww"、というスレを立てるかようなコレクションを発表して話題をかっさらっていく。


サルト
<From Balenciaga.com>


Tシャツにシャツをくっつけて <15万円です。コレどう思いますか? 世界の皆様、後は自由に語ってください。>という問題定義と話題提供。あとはかってに拡散していくだけです。非常にコンセプチュアルですよね。
これをやるにはぎりぎりのラインでの上質な問題定義でなければ難しいとおもいますし、非常に繊細なバランス感覚が必要になると思います。誰もが出来るわけではないのですよね。

裏事情を言ってしまえば、ブランドはシンプルなTシャツを良い塩梅のラグジュアリーブランド価格でがっつり売っていますから、問題ありません。結局メンズはシンプルなTシャツとシンプルなパンツしか売れませんから 、そこで採算を取ってるんですよ。コンセプチャルなものやトリッキーなモノは話題にさえなれば売れなくても元は取れてしまうんですよね。(とくにこういったアイテムは基本Pre Orderですから。)
シンプルなTシャツをより高く、より多く売るために色々仕掛けているのですね。ランウェイの洋服着ている男性なんか街中で会わないでしょう?
そういうことなんですよ。ブランドによってはコンセプトだけの発表の場がショーだったりしますしね。

まぁ、こういったビッグメゾンだけにかかわらず、大小とストリートでは若者達にカルト的な人気のある私の知らないブランドもあるのでしょうけども、今後20年30年とつづいていくブランドはどれだけ残るでしょうか?
コピペ、焼き増し、リバイバルでやっていくことも可能かもしれませんが、もしファッション業界で30年間、あなた自身のブランドを残したいとすれば、いったいどういったストラテジーで洋服を作っていくでしょうか?
あなたはそのブランドが何年間この世に残っているビジョンが見えますか?
あなたが着たい服だけ作って10年間メシ喰っていけますか?
それができる人はセンスが服着て歩いているようなデザイナーでしょうね。そういう人は戦略なしに成功しますよ、絶対。

さてさて、次はどんなものが流行るのでしょうか? 私は結構ワクワクしながらこういった移り変わりをイギリスの田舎から眺めております。