サルトでは現在、ご予約なしのご来店や直近のご予約ではご案内が出来ない場合が多くございます。できる限り、事前のご予約をお願いいたします。

SARTO

  • サルト_instagram
  • サルト_facebook

column

天気の良い日が続いております、5月に入り調子を上げて参りましたイギリスですが、日本はどうでしょうか?
お世話になっております、ドコサ肉サエンさんこと、をさないです。(詳しくは前回を参照ください。)

私はDQではないのですが、たまらなくなってヴィンテージのオートクチュールドレスを買ってしまったことはあります。
もちろん自分用ではありません。間違いなく、アリスの為に買ったものです。お会計の時に、"きっと、彼女にぴったりのサイズのはず、うんぬんかんぬん"とぶつぶつ小声でつぶやきながら、自分用ではないとアピールしましたからね。
まぁまぁ、そんなことを言っておりますが、今回はそんな女性ものとは全くかけ離れた男性ものの上着のお話しです。


サルト

写真で見ると少々ブラウンが強めですが、実物はエンジに近いブラウンです。格好つけて言えばエイジングの効いたボルドーとでも言いましょうか、しかし私のような十勝王国臣民と致しましては、小豆色というのが正解かもしれません。パスポートもきっと小豆色なことでしょう。
今回は格好つけて"スポーツコート"なんて呼んでしまおうかなぁっと思ってもみましたが、どうでしょうね。
非常に古いものですから、悪くないでしょう。
要はストライプのジャケットなんですけどもね。

今回のジャケットは私が自分で着ますし、大好きな一着です。

サルト

製造年月日がないので例のごとく、詳しい事は言えませんので皆様も一緒にディテールからデイティングしてみようではありませんか。

まずは基本的にパッと見や生地感などでも古いものだなぁっと目星はつきます。
ボタンホールは手纏りですね。

サルト

サルト

アンティークラウンジではフロントダーツが無いのはもうお馴染みでしょうが、もちろん、それがすべてではありません。俄然ある物もありますし、このように主張の強いストライプのものスポーツブレザーなどでは20世紀のなかばに入ってからも頻繁に省かれる場合が見受けられます。
こういったシンプルなストライプのジャケットは純粋に格好いいですし、誰しも気になる一着ですよね。特に古いもので探すとなると、非常に骨が折れますよ。

デイティングの注目は無論ポケットになります。もう口が酸っぱくなるまでここでは話してきていますから、もう大丈夫でしょう。
シングルジェットでこの処理の仕方は随分古めかしいものな訳です。
新しくても20世紀前半は堅いところでしょうかねぇ〜。皆様はどう考えましたか?


サルト

正直、ポケットに比べカフで時代考証するのは非常に困難です。私がチェックする場合は、デイティング如何ではなく、どんな仕上げ方をしているのかになります。内側のライニングの処理や状態なども大事になります。
あとポイントとすれば、カフのボタンは3つが一番クラシックだとされています。今では俄然4つが主流です。逆に、一昔前のものだと、2つ、1つはあれど、4つはまずお目に掛からないかもしれませんね。そういったスタイルの方がカフだけを見るよりデイティングできます。

サルト

ラペル裏、襟裏の確認ももちろんします。無論ハンドのパディングスティッチが確認できますね。
この辺は有ってしかるべきなディテールでしょう。デイティングというよりもどういったジャケットかを調べるのには有効なポイントです。

サルト

前にも見ましたよね。カラースタンド部がミシンでキルティング(っといって差し支えないと思いますが、)されているタイプです。
今では主にオーヴァーガーメントくらいに見られるディテールでしょうか。"ハンドメイド"印の上着ではもう見ないかもしれませんね。パッキパキのマシーンメイドのものではまだみることもあるかもしれません。
カラーメルトン上部ではハンドのパディングがみられますね。このハイブリットな仕様からも時代感がしっかり伝わってきます。20世紀で言えば確実に前半といった時代感ですね。

サルト

メーカータグを調べたところ、このCo-opの場所と部署は1860〜1940代くらいにあった物のようですから、どうやら、40年代以前なのは確定と言った感じです。上で見てきたディテールからも外れていませんね。
このタグ自体も40年代というよりももっと古い時代感はあります。

サルト

首裏の処理を見るとハンドテーラードガーメントだと分かりやすいので、おすすめの確認ポイントです。

サルト

ここが問題のキルティング。
ご存じの通り、この辺のライニングに入るキルティングはフォーマルなボディコートによく見られるもので、ラウンジジャケットには"基本"入っていないものです。本当に稀ぇ〜に見ることがあります。
新しいものでも40年代くらいに作られた上着がキルティング仕様だったことがありましたが、どちらかというと"こういう事もヤッテミマシタ!"系の空気感があったようにおもいます。ちょっとリアリティが無かった。

20世紀の前半くらいまではボディコートが俄然生きていた時代ですから、職人さんも日常的にこういった仕事をしていたわけです。感覚的な言い方になるのですが、この上着のキルティングにはそういったリアリティがあるんですよね。
ヤッテミマシタ、というより、"え、普通ですけど?" という日々に裏打ちされた技術が伝わってくるんですね。

サルト

前にも言いましたが、1800年代後半と言いましても、もちろんミシン全盛な時代です。無論バリバリ使われます。フロントエッジもライニングのフロントもミシンです。手纏りであれば古く、ミシンであれば新しいという話では残念ながらありません。
寧ろ、ハンドスティッチの使い所とミシンの使い所から、作り方のプロセスを想像するのがおもしろいところだったりしますね。

例えば、この写真に見えるハンドの星ステッチありますよね。今回これはフロントエッジの裏のみに見られるんです。表にはトップステッチが一切無い。
こういった所やその他のディテールから、当時の作り手の哲学やプロセス、もしくは物語という事が想像できるのですよね。それが楽しかったりします。

テクニカルなことですし、少々重くなりますから、その辺を語るのは止めておきますが、皆さまも想像してみてください。

サルト

前にも言いましたが、ショルダーは非常に面白いところです。テクニカルな事もそうですが、着たときの着心地にも直接作用してきますし、時代感やファッション性も多分に出るところです。

一言にジャケットと言えど、色々な哲学やアイディアが詰まっているのだから、本当に面白いものです。
皆様も色々なジャケットに袖を通して楽しんでいただければ幸いですね。
ちなみに、本当に購入を考えているときに絶対チェックしなければいけないところは脇周辺の匂いです。その匂いがオイニーになっていないかは絶対にチェックしてください。