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前回より>>>



これは、私も長い間紹介できる機会を待っていたアイテムです。

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60sヴィンテージのカリマーのリュックです。

あなたならこのバッグにいくら出せるでしょうか?
もしくはいくらで売るでしょうか?

そもそもヴィンテージのリュックに興味はないし、カリマー自体もよく知らないブランドなのでお金は出しません、という人がほとんどかもしれません 。
まぁ、そんなところでしょう。
見た目は格好いいですし雰囲気もありますから、この見た目だけで惚れた、欲しい!といってくれる人もいるかもしれませんね、そんな方はいくらまでだせますかね?

とりわけ、このリュックが良い例になると思ったのは、もちろんアイテム自体がレアなのもそうなのですが、どうやらいくら探せど日本のマーケットに出てきたことがないアイテムのようなので一切日本での相場が分からないバッグなのです。

皆様で自由に考えてみてください。

ヴィンテージのリュック、とだけ言われてもそれだけでは価値は見いだしづらいですよね。

それでは私が皆様の興味を引けるように簡単な補足をさせていただきましょう。

まず、こんなイギリスびいきのコラムを読んでくださっている皆様は無論カリマーをご存じでしょうが、もう一度簡単に説明致しますと、イギリス発祥のアウトドアブランドです。
アルピニズム発祥の国イギリスの登山家達に愛された本格的な登山バッグが特に有名です。
しかしながら、40年代にパーソン夫妻による家族経営で生まれたブランドは当初は自転車系の物を扱っていた小さなワークショップに過ぎませんでした。50年代後半から本格的に登山用のバッグを作るようになります。
当時はごくごく小さいワークショップであったため少数生産でしたが、オールナチュラルマテリアルの完全ハンドメイドで作られる高品質なもの売りでした。
このバッグが作られた60年代当時は工房には主人であったマイク・パーソン含め7人しかいなかったようです。

このリュックのモデルはDon Willans "Alpiniste"
初期型カリマーのハイエンドモデルにして、今でも続くアルピニステ・シリーズのオリジナルモデル。
オーナーのマイクさん自ら作っていた初期モデルで、"レザーパーツが若干不揃いだったりするかもしれないが、正真正銘のハンドメイドだったんだよ。"とマイクさん自らも語っています。
コレは本当に言いすぎではなく、登山バッグの一つのアイコンであり、伝説的なモデルなんです。

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もっと簡素で大きいサイズのJoe Brown という初期型バッグも有名ですが、Willansのアルピニステの方が明らかに造りが凝っていまして、ここに一種の完成を見たというのでしょうかね。サイズ感も丁度良い。
Donさん、Joeさん二人ともイギリスの有名なアルピニストです。
ジョーさんとドンさんは友達でジョーさんの使っているリュックをみて、ドンさん自らカリマーの工房を訪ねマイクさんにバッグを作って欲しいとオーダーしたのが1963年。デザイン等の話を詰め、完成したのが1964年だったようです。ですからJoe Brown モデルの方が古い型になりますね

今、私の手元にあるこのバッグは当時アルピニストだったイギリスの方から購入した物で、彼自身が購入したのは1965年、その年、とある山でジョーさんとドンさんと一緒になったこともあったようです。みんなカリマーだったようですね。

Willans アルピニステはネット上で調べた結果、赤もあったようですがオリジナルはオレンジにボトムは厚い黒のレザー。山で一番目立つカラーなのですね。
なのでオレンジのバックパックは実は王道だったりします。私は登山はしませんがね。
オレンジを背負っているとアクセントにもなりますし格好いいですよね。
丁寧に作られたハンドメイドの本格アウトドアーバックパックなんて当時のカリマー意外に考えられないと思いますよ。(まぁ、他のブランドを全部調べたわけではないですけども)ちなみにフレームは入っていません。
そして、初期カリマーのディテールとしましては、ブランドロゴが背中側というのがあります。
このタイプ自体結構レアで、めったにお目にかかれないと思います。

さて、こんな感じですが、ほんの少しくらいは興味をもってもらうことが出来たでしょうか?
そうすれば私の思惑通りなのですが、残念なことに私はこのバッグを売っていないのですよね。そしてヴィンテージショップを経営するほどロマンチストでもないのです。

最近はネットショッピングも増え、ショップ店員の"あり方"が再度問われているようにも思います。
カタログトークを聞くくらいならウェブ上の商品説明を読めば済むわけです。
しかしCDじゃなくて、ライブパフォーマンスを観たいというオーディエンスがいるわけですから、生のプロのコーディネートを参考にしたいとショップに来てくれるお客さんもいるわけですし、あなたのプロのライブトークを聞きたいというお客さんもやはりいるのだとおもいます。
落語家のような店員がいても良いと思います。ほとんど寄せであるようなショップがあってのまた良いのかもしれません。

それでは皆様、市場に価格のサンプルすらない場合、皆様はそのアイテムにどうのような価格設定をするのでしょうか?
トークに自身があるのであれば、ちょっとくらい強気な値段設定でもいいでしょうか? それともやはりお手頃で良心的な設定を遵守するでしょうか?
今回はそういったエクササイズを楽しんでいただけたなら幸いです。

※ちなみに、このバッグ、たしかこの前のヘンリープールのフロックコートの倍以上の値段を支払っております。涙。