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column

前回突如としてお話しにも上がりました、"博物館級"の洋服ですが、私も色々コレクションしているアイテムを考えてみました。
どのアイテムであれば博物館にあってもいいのだろうか、と。

以前にお見せしたWW2のアクアスキュータムのトレンチコートであればインペリアルウォーミュージアムなんかにあっても良いようにも思いますし、博物館でなくてもアクアスキュータムのアーカイヴルームにしっかり保管しておいていいアイテムだとも思います。
バラクータのコートにしてもブランド創世記の物でCC41タグがついて、且つド40sのスタイルですから、おもしろいでしょう。時代を切り取った物でなおかつブランドの歴史も一つ乗ってくるものですから、そういったファッションエキシビジョンがあれば、ウィンドーの中にあっても遜色ないとも思いますね。

ただただレアであれば博物館にあるべきであるというわけでもないのです。
ミリタリー系の博物館であれば、現在でも簡単に手に入る近代の服ももちろんサンプルとして確実にあるわけですし、そういった洋服の発展の歴史もキューレーター側は見てもらいたいわけです。

Barbourのワックスジャケット、Burberrysのレインコート、Mackintoshのゴム引きコート、バラクータのG9、etc、こういった洋服は意外と普通に博物館にあったりもします。
時代を作ったアイコニックな物は展示会の際にもそうですし、パーマネントでも展示されていたりもするんですね。
20世紀のファッションを振り返るような展示会をあなたが企画するとしまして、これらを無視するのであれば、寧ろ何を展示する気ですか?と疑ってしまいますよね。
すべてパリコレの洋服でしょうか? であれば、20世紀パリコレの歴史展にするべきですね。
ロンドンのV&Aでは定期的に大きなファッション展がありますから、それに太刀打ちできる企画をあなたがお持ちなら是非どこかで頑張ってみてください。

西洋のコスチュームにフォーカスした企画展、またはイギリスの大きな博物館のファッションのパーマネントコレクションでも、まず置いておきたいのはフロックコートになるかとおもいます。
19世紀のコスチュームを振り返ったときにフロックコートは絶対にあるわけです。
そして、そればSavile RowのHenry Pooleが作っていたとすれば、説明文のボリューモ増えますし、見よう見まねで作った形だけのフロックコートを飾るよりよりリッチなショーを演出できるかもしれません。

サルト_フロックコート_Henry Poole


要は一つの洋服にどれほど伝えるに足る情報が載っかっているのかという事なのですね。

例えば、今回のフロックコートであれば、まずは現在では見なくなった正真正銘のフロックコートであるということ。そして、100以上も前の物で現在とはちがってほとんどが手作業であると言うこと、3つ目はSavile Rowという歴史ある場所でのビスポークという文化、4つ目は現在でもつづいている歴史あるHenry Pooleというブランドであるということ。そしてその他諸々のディテールであったりをつたえることもあるかもしれませんね。
これらの要素がその来場してくれるお客さん達に伝えるに足る情報であれば、博物館側にとっては展示したいアイテムになるでしょう。

たとえば、博物館級にただただレアなアイテムであっても、それをどのように展示するかという話になってしまうのです。

見たことも無いディテールの100年くらい前のフランスの農夫が着ていたボロボロのジャケットをあなたはどういう展示をするのでしょうか?
そして、人を呼んで最低でもお金はペイしたいのですから大変です。
19世紀フランスの労働者階級のコスチューム展をどの規模で行えばいいのでしょうか?

そんな事を考えるのであれば、それほどレアな洋服はデザイナーにリースした方がよっぽど採算が取れると思いますし、その手のマニアに買い取ってもらった方が双方都合が良いのです。
良質なテーラードアイテムでしたら、もちろん私が買い取ります。
ですから結局博物館には無いという事の顛末なのですね。

もちろん、もう一度言いますがこういった物は言葉の綾と理解していますから、真剣に紛糾しないでくださいね。
ヴィンテージウェアに関して言えば私もただの消費者の一人でしかありませんから。

サルト_フロックコート_Henry Poole

サルト_フロックコート_Henry Poole

HPはブランドタグを首裏にいれるちょっとSR界隈では特殊なのですが、この一着は私の手元に来たときから、このようになっていました。
ネームタグは基本、右インブレストポケットに差し込まれます。
色々とフロックコートは見てきましたがこの一着は明らかにハイスタンダードなハンドテーラードで仕上げられてますから、HP製で疑いはないのですが、なぜこのような仕様になっているのかは疑問が残るところです。
その他の仕様もアンティークなディテールですので年代の照合も間違いは無いと思いますから、タグだけ差し替えられているというような適当な一着ではありません。


サルト_フロックコート_Henry Poole

サルト_フロックコート_Henry Poole

サルト_フロックコート_Henry Poole

サルト_フロックコート_Henry Poole

サルト_フロックコート_Henry Poole

サルト_フロックコート_Henry Poole

サルト_フロックコート_Henry Poole

表生地はまっさらな状態ですし、汗染みなどもない非常に綺麗な物なのですが、ライニングの劣化はかなりあります。
アンティークのシルクライニングはちょっと繊細すぎますから、ホント触る物みな傷つけていく10代に戻った気分ですよ。触る所から簡単に破けていきます。
100年以上経過しているシルクライニングに関して言えば、赤ちゃんの肌の方がまだ頑丈な位ですから、お気をつけください。

もちろん着る事を想定していない資料としてコレクションしていますが36インチチェスト、170CMくらいの標準体型の方であればジャストでしょうね。

まあ、こういったアンティークに限らず貴重で高価な洋服は着たところで精神衛生上あまり良いモノではありませんから、結局状態を気にせず使い捨てできるような洋服が普段着では丁度良いなぁっと実感させてもくれます。