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column

まぁ、ゴム引きのコートを着ること自体そんなに無いですし、きっと着ている人自体も少ないのでしょう。そんな中、そのコートを着る機会も春または秋、そして天候が優れないときと限定的なのも否めません。
本格的な冬になればそれなりに防寒性のある軽くて良いモノが街の中には溢れていますしね。
旧世代の遺物にわざわざ寒い思いして袖を通す必要なんて今の時代にはないのかもしれません。
今の時代感でしたら薄手のダウンを中に着れば、冬場もそれほど防寒性の高いコートを着る必要は無いのかもしれませんね。
皆様はどんな感じで冬場を凌いでいるのでしょうか?

ロンドンは如何せんカオスで雑多ではありますから、それを参照にコレはこう着る!みたいな指南は出来ないのですが、インナーダウンは完全に市民権を得ているようですね。
もう、洋服に頓着のない人もインナーダウンですし、人によってはインナーダウンの上にアウターダウンですからね。
コンドームより薄いナイロンにコレでもかとグースの胸毛を詰め込めば、そりゃ軽くて暖かいわけですよ。
軽すぎて、二枚着ちゃいますよ、本当に。

そんな中、私の話していることは、いまだ"ゴム引き"。。。。
しかも今回は冬用。。。
いやはやこういった針の穴ほどのマーケットに向けて商品を投入するブランドもあるんですよね。

ヒトとは社交性、社会性のある生き物ですから、"右へ倣え"ももちろんヒトなのですが、その中での生存競争を考えますと、他との違いを作る必要性もまた生まれてくるのですよね。違うことをしたいという心理もまたヒトなのですから、そういうマーケットに向けての商品もまた存在するわけであります。


サルト_ゴム引きコート

サルト_ゴム引きコート

サルト_ゴム引きコート

サルト_ゴム引きコート

サルト_ゴム引きコート

サルト_ゴム引きコート



これまた、レディースのアイテム。アリスにプレゼントしたコートです。
これ重たいですよ〜。

ヘビーウエイトのウール混ゴム引きコート。とでも言いましょうか?

それにアタッチメントできるウールブランケットラインもつきますから、それも込みますと、まぁ重たい。

ラルフローレンのモノです。イタリアで製造されています。

厳密にはMackintoshのオーセンティックなRubberised Clothとは製法が異なるかもしれませんが、テキスチャーは若干起毛感があるゴム引きの生地のその感覚なのですよね。不思議な生地です。
写真にもありますがその概要は

37%ウール
29%ポリウレタン
19%コットン
15%ナイロン

といった完全に特殊な織物ですよね。

ゴムを引いたと言うより、ゴムと一緒に織ったといった具合なのかもしれません。ポリウレタン29%も入っていますからね。
その辺は生地のエキスパートではないので専門的な話はしかねるのですが。

"こんなにポリウレタン、ナイロン混ざってたらさぞかしストレッチ効いて動きやすいのでしょうね。"
なんてお思いの方もおられるかもしれませんが残念ながらストレッチしません。

勘違いしている人もいるようですから、簡単にお話ししてしまいましょう。

良質なテーラーリングに使われる生地では基本ストレートまたはクロスグレインでストレッチするモノは使われません。
しかし、バイアスではもちろんストレッチします。コレが俗に言うナチュラルストレッチです。
ですから、我々はグレインを見て仕事をするわけですね。

"だけどね、僕の持ってるウルトラストレッチスキニーパンツ(黒)はポリウレタン7%で相当伸びるので、29%も入っていたらもうほぼゴムじゃないですか?"

ですからね、その生地の織り方が違うんでしょうね。

そもそもストレートグレインでスキニージーンズのようなストレッチが効く生地はクラシックなテーラードガーメントには向いていないのですよね。ジーンズなら兎も角。
もちろん、そういった素材を使いクラシックテイストでスポーティなコンポラモノとしてつきあうことも可能だと思いますけど、そういった機能性にステータスを振りすぎると、どうしても洋服としての風合いや雰囲気が損なわれてしまうかとおもいます。短命な使い捨てアイテムにそういったストレッチアイテムがどうしても多いのは仕方が無いのでしょう。
スポーティで機能的なアイテムはスニーカーよろしく、エイジングを楽しむ物では無くて、シュッと見える消費期限以内にササッと楽しむモノですからね。
鮮度が命ですよね。ティーンのアイドルみたいなモノですから。
英国のクラシックなアイテムは、初めはシャープで堅くて、明らかな若さが伝わってくるのですが、エイジングがそのまま渋さにかわっていくといいますか、モデル出身のシュッとした若者が、歳をとってまた良い感じの俳優さんに育ち、口癖が "不器用なもので、、、"なんて言ってると思ったら、若い俳優とホテル行ってるところパパラッチされちゃったり、、、する感じでしょうか?
伝わったでしょうか?

とにかく、こういった特殊生地は大手のブランドでしか手に入らなかったりします。
珍しいエクスクルーシブなスーツ用の生地も大手の既製服ブランドの方がテーラーよりも扱いが多い事もあります。

まぁもちろん、珍しいとんでもない生地はSavile Rowでは見ることももちろんありますけど、生地ブランドの珍しい最新のエクスクルーシブな生地はそもそもミニマムがテーラーで扱える量じゃない場合が多いですから、本当に世界中にショップを持っているラグジュアリーブランドで無いと裁ききれなかったりするのですね。

プロ以外は注目しないかもしれませんけど、そういった色々な生地の見本市も世界にはありますから、気になる人はそういった所に行ってインスピレーションをいただくのも良いかもしれませんよね。日本のブランドも頑張っているみたいですよ。
パリのプレミエール ビジョンなど、色色あります。

既成品のブランドモノを選ぶときはこういったおもしろいモノが選ぶ基準になるかもしれませんね。

カシミア100%で極上の仕立ての既製コートはどんなに良いブランドタグがついても私にはたいして魅力的には見えないわけです。
それなら、ゴム引きのコートの方が手縫い出来ませんから吊しを買うより他ないのですよね。アイテムの性質上ビスポークする必要性も無いですし。
ヴェンタイル一枚のレインコートもそうです。 アリモノで全然構わないモノはそれを買えば良いわけです。
この生地も手で縫える様な生地ではありませんからね。

ともかく、コートレールに掛かっていますし、私はときどき出してきてはゴム引きのコートを着るのですが、正直今敢えてゴム引きを選んで着る物好きな人がどれくらいこの世界にいるのか想像も出来ません。
今後、いつまでこの時代錯誤な洋服が生存できるのかを託されているようにも思います。
もしくはもうすでに100%八木通商さんにゆだねられているのかもしれません。

正直近い将来Mackintoshはヴェンタイルコットンのレインコート専業ブランドになってる気がしないでもない、ということは私の独り言です。