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サルト_1930年代_スーツ

サルト_1930年代_スーツ


ショルダーシームについては話が難しくなりますので、簡単にします。
今は基本的にこのシームはストレートです。昔はもう少しバリエーションがありました。おおざっぱに言いまして肩周りの作りの違いです。パッドであったり、芯地であったり、そもそも作り方のアイディアであったり、カッティングの方法であったり、その裏には色々なドラマがあったわけですね。
ちょっと写真は分かりづらいのですがこのシームは意図的に緩やかなS字になっていますよね。

こういう些細な所から、色々なストーリーを想像して楽しんでみてください。

とりわけ、イギリスのジャケットのショルダーは特徴的だと思いますし、私もこだわって作り込んでいるポイントの一つです。
職人によっても狙っているポイントが違ったりしますから、何がどう違うとかも敢えて言うのは野暮でしょう。
皆様も色々なジャケットをお持ちだと思いますから、改めて肩周りの魅力に注視して着てみてください。
新しい発見があるかもしれませんし、またどっぷりこの世界にハマル結果になるかもしれませんよ。
間違っても、なで肩がどうこうと言った、既成品のパターンの話ではありません。
しっかり作り込まれたショルダーのお話です。この雰囲気だけは既成品では出ないので、ビスポークならではの楽しみ所ですよね。

サルト_1930年代_スーツ


サルト_1930年代_スーツ


もう皆様もポケットにはうるさくなってきた頃ではないですか?

この作りの物を前にも見ましたよね?

そうですね。アンティークのオーヴァーコートで見たものとそっくりです。
シングルナロージェットWithフラップっと言った感じでしょうか?

敢えてこの仕様で作る職人はもう今はいません。こればかしは言い切って良いかもしれません。SRにはさすがにいません。
もう絶滅種でしょうね。

些細な仕事ってやはりセンスが光ると言いますか、ホントに大事だなと思うんですよ。これ見よがしなディテールではなく、こういったポケットのような些細な違いです。こんな事ももう100年以上語られていることだとは思うんですけどね。なんなら相手に分からなくても良いんですよ。もちろん消費者やクライアントを試している訳ではなくて、そういう細かい仕事が分かってくれればうれしいな、くらいの気持ちなのだとおもうんですよ、大体の職人は、そしてそういうある種、男性的なコミュニケーションも粋の一つであると思うのですね。
今はこう何でも、良い意味でも悪い意味でもシェアできるSNS的コミュニケーションが全盛の時代ですから、こういったハンドクラフトの"職人の粋"の世界もSNS仕様になってきているのかもしれません。
どこの国の職人かも分かりませんが、作品のジャケット自体が"ヤッテマス!"と叫んでいるような、ドヤ顔系テーラーのSNSとかも無作為にどんどんスマフォの画面に飛び出してくるのですよね。(フォローしなくても色色でてきますよね。)
私はこういうのは楽しめるタイプなんですよ。純粋にチャレンジ精神が好きですし、SNSコミュニケーションは派手な方が楽しいですし。

しかしですね、私はお寿司が大好きなのですが、イギリスの大手スーパーに並んでいるようなファンタジー寿司もそれはそういうものとして結構食べちゃうタイプなんですよ。
カリフォルニアロールなんかもおいしいもんですよ。
イギリスにある某回転寿司チェーンのローストビーフ寿司なんて余裕ですよ。なんならおいしくいただきますよね。なぜなら私はそこでマンゴーが乗ってる寿司だって食べたのですからね。
普通に酢飯の上にマンゴーの切り身が乗ってるだけですよ。
見方に依れば、ちょっと沢庵、またはカズノコっぽいですし、百歩譲って調子の悪い日のサーモンと見ることもできたので、食べてみたのですが、完全にマンゴーでしたね。
ただのシャリとマンゴーですよ。もちろんその間にハーモニーなんて言う物は産まれませんよ。
食感はたしかに刺身っぽいかもしれません。しかしマンゴーの味なんて95%は糖分でしょうからね。砂糖漬けの糖質の上に完全な糖分とほんの少しの食物繊維で構成される小皿の上のちょっとしたモンスターですよ。ロンドンにいてほんのすこし南国が近く感じられる以外食べるメリット無いですよね。

このように、私はある程度のフロンティア精神も持ち合わせているわけでありまして、ある程度の物は楽しめちゃうわけですね。
しかし、やはり結局は職人の技術と素材だけで勝負という素朴なものが一番好きなのですよね。なんなら雰囲気で誤魔化してないお店がいいですよね。雰囲気とロケーションに高いお金を払うのは特別なデートだけで良いですよ。
まぁ、人間の味覚なんて場の雰囲気やその日の体調で簡単に変わってしまいますし、視覚でも変わってしまうわけですから、雰囲気代は当たり前だとは思いますよ、実際。お店側もその雰囲気作りにお金も掛かけていますし、プレゼンテーションにはシェフのセンスが大事ですから、そういったデザイン料も加味されるべきでしょう。レストランの料金というのは出てくる料理だけではないんですよね、実際。

いやはや話がそれますね。その辺ご存じだと思いますが。

まとめますとね、ハッシュタグが無くても些細な仕事の微妙な変化に気づいて始まるコミュニケーションも大事ですよね、ということでして、インスタ映えしない事も忘れてもらいたくないと言いますか、マンゴー寿司やブラックライスにチアシードまぶしたシャリじゃなくて、私は真っ正面からぶつかってくれる普通の日本のお寿司が食べたいです。

皆様がそんな気分になり、格好いいスーツを着たいと思ったときに少しでも良い仕事ができていますように今年も精進しようと思います。

今年もよろしくお願いし致します。