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SARTO

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column

最近気が抜けていたのでありましょうか、おきまりのフレーズを言っておりませんでした。もしかしたら不安を覚えた方もいらっしゃったかもしれません。
お世話になっております、をさないです。

お久しぶりです。
とは言っておりますが、今も昔も変わらず私がこのSRCをしたためさせてもらっております。

昔のファッションばかしを振り返ってきましたので久々に旅の話なんてどうでしょうか?
"来年はどこに行こうか?" なんて考えているあなたのインスピレーションになれれば幸いです。


サルト_ソファ


ヨーロッパの方では夏のホリデーはどうしようか?などと考えたり友達や同僚とそういった話をすることは当たり前のことです。
寧ろ、ホリデーのために働いているようなものです。
皆さん趣味や趣向がありますから、行き先は様々です
人によっては、毎年カリブ海にしかいかないため、家に帰ってくると、すぐに次の年の旅をブッキングしてしまうと言う人もいます。
そういった好きな場所が決まっているために決め打ちする方法もあるのですが、(日本人のハワイみたいなものでしょうか?)せっかくだからまだまだ行ったことのないところへも行きたいものです。
センスが垣間見れる旅先を選んでいるかどうか、意外と我々は他人に値踏みされたりもしてます。
大人になると、学生がパーティで夜どうし遊ぶための地中海の島なんてまず行きません。
仕事の疲れを癒したいのだから、ゆっくりできるところへ行きたい、しかし未開の地を冒険もしてみたい。
難しいものです。

体力と健康は本当に大事な物です。
退職してから、貯めたお金でゆっくりと旅をしたいと思う人もいるでしょう。
本当にその時にあなたに体力が残っていて、"よし!世界を見て回ろう!" と思うことができるでしょうか?
もちろんそういった人生設計を立てている方にとやかく言うつもりはありませんし。私も好きなことを思いっきりして後悔無く大往生したいものです。
しかしながら、やはり20代の目に映るタージマハルは65歳の目に映るそれとは違ってみえると思います。
もちろん同じ物なのですが、脳への刻まれ方が違うと言いますか、心の揺さぶり方が違うと言うのでしょうか。
行きたいなら今すぐ行け!と私は若人達に伝えたい。

私はまだ、65歳ではありませんから何とも言えませんが、65にもなれば、良いことも悪いことも経験して、一つの物事を相対的に見る、蓄積された体験の絶対数が明らかに多いですから、その分、新しい経験の衝撃はそれほど心を揺さぶらないのだと思います。物怖じしないとはそういったことも多分にあるのでしょう。
しかしながら20代は思いっきり真白のキャンバスにその時の感情をぶちまけられるはずです
バイトをしてお金を貯めてサンローランのレザージャケットを買うのも良いでしょう。
それも一つのアチーブメントです。あなたを何かしら成長させるかもしれませんし、それが今後のインスピレーションになるかもしれません。
それでも、私はその貯めたお金で片道だけの飛行機チケットを買って、今あなたのいる一番居心地の良い場所から飛び出してもらいたい。
そう思っています。
もしもあなたが、ファッションが好きならなおさら飛び出してもらいたい。SUPREMEのロゴが入ったフーディよりあなたの心を揺さぶってくれる体験が待っているはずです。
それらがあなたのクリエイティビティを確実に刺激してくれるはずです。

まぁ、ファッションデザインに興味がある方よりも、ある程度テーラーリングに興味が無いとSRCにはたどり着いていないと思いますから、一応触れておきましょう。

正直、武者修行といえど別に海外に出れば特別な技術がいきなりつくわけでも何でもありません。
技術は情熱と反復で得られる物です。
日本であろうが、イギリスであろうが、イタリアであろうがナニジンであろうが同じです。習得する時間に個人差はあるとは思いますが人間の手なんて物はあらかた器用にできています。

今は時代が時代ですから海外で勉強して就労につくのは難しいでしょう。私にしても、ただただ運と縁があっただけでして、才があってそれを認められたからイギリスに住んでいるとかそういったことでは全然ありません。微塵もありません。
しかしながらテーラーリングはあくまで西洋のファッションの一部ですから、やるからには海外で勉強したいという情熱だけはありました。
もちろん、海外に出たことがない職人に情熱が無いとは言っておりません。ただ違いがあるのであれば、ほんの少し好奇心が強いのかもしれません。
それが直接、技術に影響を及ぼすかどうかは分かりませんし、どうでも良いことです。
日本から出ずともすばらしい技術と情熱を持ったテーラーは沢山いるでしょうし、長く海外で経験を積むことができなかった若い職人でもその経験を日本で成長させ情熱でもって大きく羽ばたけるでしょう。

一つ私が警笛を鳴らしたいのは、前から言っている事ですが、ごくごく限られた短い時間であたかも技術をマスターした、という謳い文句を使う事です。イギリス留学にしろイタリア留学にしろです。
女子大生がコンパで言う、 "私、霊感強いんです。"くらいの引きしかありませんよ。
おいおいマジか、としかリアクションとれません。

嘘か本当かも分からない経歴と綺麗な御託で自分を飾り立て商売することは、百歩譲ってOKとしましょう。(この商売のそういった経験は証書がもらえるわけでもありませんし、もらったとしても訳が分からないものだったりもしますしね。霊感が強いという女子大生しかりです。)それなりの物を作って、お客が満足して自分はご飯が食えればそれで良いでしょう。
しかし、技術を会得、体得、マスターとなると違うと思います。
数ヶ月でサヴィルロウ式、ナポリ式等々をマスターしたと吹聴されると業界が疲弊してしまいます。
"インスパイアーされました" では足りないでしょうか?
サヴィルロウ風、ナポリ風じゃダメなのでしょうか?
現地に来られる方は現地で買いますし、"○○っぽいスーツが欲しい!"というお客さんも多いみたいですから、"○○風なら、どこどこのテーラーのテイストはそっちよりですから、どうですか?"で事足りると思います。
今のお客さんだって、テーラーリングが数ヶ月でマスターできないことぐらい知っていますから、気をつけた方が良いと思います。
その辺の謳い文句を使うと、ハードルも上がりますし、ビジネスセンスすら疑われてしまいます。
そして、業界30年以上のマスターが "まだ新しいことが見つかる" というのに、数ヶ月でマスターされ、商売し、たとえば粗悪なものを作っていたとなれば、日本のマーケットには不信感が募りますし、今後海外に留学し日本に帰る若い職人はどんどん仕事がしづらくなります。
消費者は本物を見抜く目が必要になり、より素人は入りづらい業界になり結局誰も寄りつかなくなります。

あとはもちろん、好奇心があってもお金や時間が無く海外にでれないかたもいるでしょう。

やらないことの理由にお金と時間と言う人は実際はそのことをたいしてやりたいと思っていないためです。もしくはその優先順位があなたの中で著しく低いかです。

お金と時間はより優先順位の高い物に使ってしまいますからね。
人前では体裁の良いことばかりを言っておいて結局行動に起こさないタイプの人間はやらない理由を見つけるのが得意なものです。
そういう知り合いは私にもいますし、あなたの周りにもいるでしょう。
結局そういう人との付き合いは無くなっていきます。
もちろん、色々なタイプの人がいるため世界は回っているのですから、私はそういう人達を否定しませんが、私は、やらない理由を見つけるより、やる理由をまず見つけられる人、そしてそれをしっかり行動に移せる人は純粋に格好いいと思います。

私もまだまだ行きたい場所がいっぱいあるのに、いけない理由ばかりが真っ先に二個も三個も浮かんできます。

あ〜歳をとるとは皺の数が増えることにあらず、脚に付けられた鉄球の重さが増えていくこと、または家のソファーが日に日に心地よく感じることなのかもしれません。