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SARTO

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column

さてさて、皆様イングリッシュのヴィクトリアンコスチュームを楽しんでもらえていますでしょうか?
現在の洋服をコンフォートと表現致しますと当時のコスチュームは非常にリッチです。
現在こういった洋服を手仕事で仕上げますともちろん冗談では済まされない金額になってしまいます。
手仕事ではなくても、有名なブランドの名前がつけば笑えないプライスタグがついているものですけども、いちいち口に出さないとクオリティが他者に伝わらないのがめんどうな世の中です。着ている洋服のクオリティが伝わらないのは他者の審美眼なのか、それともその洋服に本当のクオリティがないからなのでしょうか?
インスタグラムで何度も良いアングルを見つけては写真をとり加工をして、もしくはフォトショップまで使い(もうアマの範疇を超えたグラフィックアーティストのお仕事ですよ)インスタ映えさせ、ハッシュタグを付けないと伝わらないクオリティの洋服達。来月にはヤフオク行きです。それが今のGood Quality Clothesですから、皆様の目は試されているとしかおもえません。
世間ではインスタグラムが(笑)的な扱いをされてきておりますから、ファッションフォーワードな人達はもうすでに次のモノをさがしているかもしれません。
次は何になるでしょうかね?
楽しみです。


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左のジャケットは見た感じシングルのラウンジジャケットだと思いますが、ラペルはダブルですよね。シルクのオッドベストのスリーピースと言った感じですが、非常にお洒落ですよね。この見た目をいまのアイテムでまとめあげるとなると結構レベル高いですよ。これは1874年ですよ。

今更ですが、トラウザーズを少々ないがしろにしていましたかね?
あまり話してきていませんでした。
当時のトラウザーズは基本ノープリーツでハイウエストです。
イラストですから、どこまで詳細に描かれているか分かりませんが、センタークリースがないものもありました。
当時のトラウザーズはこれまたフィッティングが難しいのですが、仕立て映えする生地もそうですし、しっかり仕事がされていますから、今のとはまたべつものです。
それこそ、こういうアンティークトラウザーズがいわゆるS字が効いた"パンタルーンズ"と呼ばれるものです。
今度実物を見せますよ。
特にヴィクトリアン、エドワーディアンのアンティーク(19世紀もの)の腰回りや脚にもフィットしたものがパンタルーンズと呼ばれます。
プリーツの入っていない "フラットフロント" と呼ばれるものですから、しっかりとした仕事がされてないと履けないんですね。
S字の効いたパンタルーンフィットのトラウザーズを現在の上質で繊維の細い軽い生地で作ろうとする根拠はあまり無いとは思いますが、昔のテクニックを今でも引き継ごうとする姿勢は誇りに思います。
スーツのジャケットが柔らかいドレープジャケットであったら下がパンタルーンフィットではちぐはぐになってしまいますからそのあたりは生地と相談して考慮する必要があると思います。
カッターさんのセンスも大事でしょう。
"パンツはS字が、S字が〜"と呪文のように唱えている、通称 "S字ゾンビ"と呼ばれるアパレルお化けが生まれてしまった原因は、きっとここら辺の情報がどこからか曲解して伝わったせいのように思います。
軽い生地を無理っくりストレッチさせ、生地、グレインが壊れ、ラインやドレープが嫌な波をうってしまっている物さえありますから、気をつけてください。
そもそも、タイトフィットでないトラウザーズをS字にする意味がどの辺にあるのかクリアに伝わっていない点がそもそも問題なのでしょう。
動きやすいですか? ホントですか? プリーツの入ったライトウエイトの生地でミディアムフィットのストレートカットでは動きづらいのですか?
もしかしてスーツ着ながら跳馬でもするのが趣味の方なら話は違うかもしれません。
私はシルクシフォンを筒状にしてウエストにゴムでも入れて履いた方がよっぽど動き安いと思うのですが、どう思いますでしょうか?

もちろんS字のパンタルーンフィットのトラウザーズを作るにはしっかりした技術が必要ですから、その技術は大事だと思います。
問題はそのしっかり仕立てられたトラウザーズに見合うジャケットはどこで探せばいいのだろうか?という事なのです。
この左のラウンジジャケットなんてもう探したってそう簡単に見つからないですし、見よう見まねで作れるものではないのですから、たいへんです。

それよりも大変なのは一番初めのルックですでに原稿が埋まりそうな現在の状態です。
熱くなりすぎました。私がトラウザーズの件で言いたいのは確実にどこかでミスリードされて伝わっているという話です。まぁ、個人の感想ですからながしてください。今度アンティークのパンタルーンズについては実物を見ながらじっくり考察してみましょう。

早く次ぎ行きましょう。

右の彼が着ているのは、何だと思いますか?

小休止

フロックコートですね。
もうこの辺は大丈夫でしょう。
黒ではない色は珍しいと思います。

もう誰も着ませんからさっさ行きましょう。


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フロックコートです。

今度アンティークのフロックコートもお見せ致します。
フロックコートも仕立てにばらつきがありますね。
フロックコートと言えど、アンティークでないものもありますし、シアター用に簡単に作られた物もあります。


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徐々にこういうもの見慣れてくると説明することにも疲れてきますね。
説明する必要はないですよね。


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両方オーヴァーコートですね。右はボタンホール付きのフロックコートラペルですね。ボックスシルエットのトップコートといった塩梅でしょうか?
私の理解では当時のシルクサテンラペルがこういった切り返しの付いた仕様になるのは、このボタンホールがあったためだと思っています。
左はフィティットオーヴァーコートといった具合でしょう。
右のオーヴァーは完全に絶滅種です。
ヴィンテージショップでもまず見ないでしょう。


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こういろいろと昔のコスチュームを見てきますと、ラウンジスーツが本当にカジュアルな物だったのだと分かると思います。
これはずいぶんとボタンの間隔が広い3つボタンですが、当時は4ボタンも多く見られました。
ファーストボタンが鎖骨と胸骨の間のくぼみまで来るくらいVゾーンがコンパクトです。
こういったジャケットもですね、パターンだけコピーしても当時のテーラーリングの技術が無いと作れないんですよ、残念ながら。
それじゃなくても今のジャケットとは袖を通した感覚が全然違いますからね。
もうロストテクノロジーの範疇なのですよね。

とはいいましても、そう悲観しないでください。
実は当時、100年以上前のTailor&Cutterのテーラーリング、メイキングの資料が手元にあるんですよ(小声)。もちろん当時のままのペーパーメディアでですよ(小声)
4ボタン・アンティーク・ラウンジジャケットの作り方の資料ですよ(小声)
訳の分からない出版社のではなく、John WilliamsonのTailor&Cutterですよ(小声)

見たいですか?(小声)

見せませんよ!!!

冗談です。今度機会があれば簡単にご紹介いたしましょう。


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これは渋いですよね。
こういったチェックのスーツはアンティークでもよく見られます。
当時のこういった物を"チェックのスーツ"とはあまり言いませんがしいていえば"Plaid"(プレード)を使いたい気もします。
昔の生地を紹介している本や広告を見ても"チェック"という言葉を使っていませんから、少々驚きます。

今私も"チェックのスーツ"と書きましたが、音にしますとちょっと恥ずかしくなるくらいダサイ響きがしますから不思議な物です。時代を感じますよね。
チェックのスーツ・・・。。。
日本語だと他の言い方がありませんから大変です。
もちろん英語でも"○○check suits"と言いますが、"チェックのスーツ"とは音がそもそも違います。
何か今っぽい言い方を業界の人達はそろそろ作った方が良いのではないでしょうか?

"タータンチェックのセットアップを洒脱にブラッシュアップ!"

やっぱり違いますね(汗)

"新提案!ボーダー&ストライプクロスオーバー柄のアーバンセットアップ! (ビジネスも可)!!"

どうでしょう!? 随分垢抜けてきましたよね!

すみません、悪い癖が出でしまいました。
まぁとりあえずスポーティなアウトフィットです。ボーラーハットですしね。


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当時はスクエアーヘムで明るい色のウエストコートが主流だったのでしょう。イラストのほとんどがそんな感じのヴェストを着ていますよね。
今度現物お見せします。
おもしろい作りです。


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完全にボーターですね。帽子もそうですが、ボートに乗る人もボーターと呼ばれます。
プラスツーにウールソックスもスポーティです。こういったシャツ襟のジャケットにはワークっぽい印象もありますよね。


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お、また来ましたよ洒落乙キッズ達。
襟無しのベルベットジャケットをこんな帽子と合わせるんだから、お洒落上級者に間違いありません。
またもや、一番小さい子は意味の不明な遊具を持っておりますよ。
今の子供はニンテンドースイッチでドラクエの時代ですよ。
百年前は木の棒に輪っかです。
むしろ木の棒と輪っかさえあれば半日つぶれてしまう時代ですよ。
今の子供なんて、木の棒なんて触ったらお母さんに怒られますよ。
"そんな汚い棒触るんじゃありません!! 消毒してきなさい!"
何て時代です。
子供にしたって、"ひのきのぼうじゃ、スライムしか殺せないけど?" って言う時代です。

昔の日本でも木の棒でチューブの取れた自転車の車輪のような物を転がして遊んでいたような・・・。いやいや、私はそんな大正、または昭和初期出身ではありませんよ。
私個人は当時、木登りしてその上でオスカーワイルドを読みながら、時々とんでくる小鳥たちとお話しするような幼少期を過ごしていましたから、白のランニングを着て手には木の棒をもってどこで拾ったのか分からない自転車の車輪なんて転がした記憶はありません。


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この左の紳士はなぜにそんなに裏地を主張しているのでしょうか?
まぁ、今以上に当時は上質な裏地がしっかり処理されている事が、粋だったような空気感はありました。
当時の洋服の広告を眺めていても、"裏地がしっかりしてる!"、"すごい、クオリティのフルライニングだ!"的な売り文句をたびたび目にしますから(笑)
昔も今と同様、見えないところもしっかりと仕事をしているのが、粋であったようです。
まぁ、このイラストほど裏地を見せつけられたら鬱陶しいですけども。