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SARTO

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column

前回も話しましたが、今回はちょっとばかしオーヴァーコートから離れてみることにしましょう。
中休み的な感じです。
おせわになっております、をさないです。

"スタイルのある大人になりたい。" そんなことを皆さまも思っているかもしれません。
もうある程度、決まったスタイルを構築している方ももちろんいることでしょう。
しかしながら、私も歳を取り、田舎に引っ込んだとしましても、長いことロンドンにも住んでいましたし、仮にも芸術大学を卒業したわけでして、時々舞い込んでくるのです。非日常への招待状が。

結婚式であったり、ちょっと堅めのパーティーであれば寧ろ私のフィールドですから、スーツなどを着込めばいいわけです。
それではこんな時、皆様ならどうするでしょうか?

一ヶ月ほど休み無く、本来若干暇なはずの2月を早足で駆け抜けてきました。
"ちょっと今週末はゆっくりしたいね" と話していた所で、ちょっとしたメッセージが入りました。

SUM41のDave"Brownsound"Baksh からでした。
"ロンドンでライヴがあるから来てくれ"という事でした。

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紆余曲折があったものの、またシーンに戻ってきたSUM41。デリックが死の淵から生還し、デイブが戻ったはじめのイングランドのツアーは見に行けなかったため、今回のロンドンには是非参加しようということになりました。

昔はよくライブにいきましたが、今は数年に一度あるかどうかという非日常です。
しかも、SUM41はばりばりのパンクバンド。デイブお得意のヘビーメタルな重厚なリフも完全に復活した往年のSUM41サウンド。

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そう、問題は何を着ていけばいいのだろうか、ということでした。

意外と強心臓の持ち主だと疑われがちな私ですが、昔から"大事なPKは蹴らすな"、でお馴染みのノミの心臓の持ち主です。
まさか、パンクのメッカ・ロンドンでのライブ、場所はかのブリクストンアカデミー(私の想像で川谷エノンさんがライブしていたあのブリクストンアカデミーです。)に、ツイードのカントリースーツで参加するわけにはいきませんし、ヘビーウエイトのコーデュロイトラウザーズをブレイシズで吊るわけにもいきません。
いくらあなたがすでにできあがったスタイルをお持ちだとしても、ある程度のTPOはわきまえたい。

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まずレザージャケットなんて着る事も無くなってしまったのですが、実は昔取った杵柄で一着だけ、こういったロック・オケージョンのための洋服も私は持っていたりします。
私は少しクラシックな結婚式に参加するときのモーニングスーツを着る感覚で埃の被ったダブルのレザージャケットに袖を通してみました。

"うん、悪くない!"

せっかくのロック・オケージョン、これを逃せば私がレザージャケットを着る機会なんていつ来るか分かりません。
このために取っておいたと言っても過言ではないのです。

ちょっとまってください、と。今回は私とアリス二人でしかも、一泊の予定です。これはいくらライブへはゲストとしてタダで入れるとしても、電車代だけでかるく£100を超えてきます。
ですので、ここは車でロンドンに行こうと言う話になっていました。

さて、ここでまた問題があります。

私たちの車はMiniなのです。
さすがにこの可愛い車体、挙げ句の果てには後ろには大きくCOUNTRYMANと入っております。(私もさすがに車は趣味と言うより、実用で選んでおります。本当はVintageのディフェンダーに乗りたいのですが、きっと私には維持できないでしょう。)
さすがに、COUNTRYMANにダブルのライダースで運転したくありませんでした。

人によっては、"うしろに積んでおいて、ライブの時に羽織ればいいじゃない?"と言うかもしれません。
しかし、私はダブルのライダースを後ろに積んでおいて、ライブでだけ着る、みたいな割り切った関係性でライダースを着たくありませんでした。

極端な話、ダブルのライダースはファッショントレンドになったりすることもありますが、バイクも乗らないおしゃれ着ライダースは別として(無論バカ高いブランドものも含め)、それは一種の宗教であり、ファッションでなく魂だったりするわけです。後は無論バイク乗りの実用着でもあります。(私にはそこまでの信仰心はないわけですが、)
それを、Miniの後ろに積んでライブ会場でだけ着る。それを私は許すことが出来ませんでした。

私がレザージャケットを着るときは、その日一日家を出たときからロックであり、パンクであるわけです。それが非日常を全力で楽しむ哲学であったりします。

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ブリクストンにあった奇妙な靴屋

さて、私はもう一度悩みました。

私の持っている一番細い、スキニーと言うよりもジェギンスに近いパンツに足を入れてみました。
ロックというよりゲイでした。
パンクと言えばスキニーですが、私の足はパンクと言うよりロベルト・カルロスのそれでした。お尻もフラットではなく、完全にキム・カーダシアンでした。

アリスはそれを見て日本語で "超ゲイ!"と突っ込んできましたが、私もそれに100%同調しておりました。そしてすぐに脱ぎました。

そして "よし!" と一呼吸入れ、いつ買ったかも覚えていない、一度も履いていなかったAcne Studiosのグレーのタイトなジーンズに私という戦うBodyとキムカー尻をねじ込みました。
はじめは久々のこういった類のパンツに違和感もありましたが、意外とすんなり馴染みました。
ほんの少しロールアップなんかしたりして、ちょっと靴下をみせたりもしました。
こうなったら、(テーラード)ジャケットはチャコールグレーのシングル一択です。
シャツが一枚着れるくらいのジャストのフィッティングでスクエアショルダー。
アンストラクチャーも物、なで肩の物より、従来のイングリッシュっぽい物をタイト目に着る方がシャープに見え、00年代のディオールよろしく、ロックな表情だと思います。さすがに私が着たジャケットは80年代のSavile Row製を自分でオルタレーションした物でして、最近の既製品はさすがに持っていませんでしたし、着る事も無いと思います。

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<ロンドンのヴィンテージショップではこんな犬の置物を見つけました。
きっと、犬種は志村犬だと思います。>

下に合わせたシャツはちょっと起毛感のあるプルオーヴァーでフレンチの30s。通称グランパシャツと言われている着丈が長いものをパンツにタックインしないで、レイヤードにしてみたりしました。
完全に洒落感ぶっこんでます。
黒のマーガレットハウエルのキャップにDover Street Market Tokyoと大きいロゴが入ったマフラーまで巻いて。ファッションやってます感を垂れ流してみたりもしました。(今だったら、バレンシアガのベースボールキャップの方がやってます感が出たとおもいますが、さすがに持っていません。まだ買えますかね?)

極めつけはジャケットの下の方に付けられたゲスト用のステッカーをチラ見せしながら、会場入りを今かと待ち列を作るファンを横目に裏手に回る、その感じ。

完全にかましてます。

私ファッションやってまぁす、と全力で手を上げ、しかもステッカーでかましてます。
インスタグラムに上げ忘れたのが心残りです。(♯ファッションやってます)

勘違いしないでくださいね、寧ろここまできたのなら俄然かましていく方が気持ち良いのではないかと思うくらいなのです。
ライブイベントなんてものは、かます人間とかまされたい人間が集まるものですから、斜に構えていても仕方がないでしょう。

まぁ、私は普段は基本的にはかまされたい側ですし、誰かがかましてくれるのを待っている、楽しみにしている側です。

体力的にも精神的にも疲れた私は次の日ロンドンを出る際、寝間着のために用意したナイキのスエット上下で帰路につくのでした。

後々、考えてみたのですが、ツイードのスーツで参加する方がある意味パンクだったのでは無いかと少し後悔もしております。