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SARTO

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column

ものすごく寒い日が続いていると、お聞きしましたが、皆様体調の方壊してはおりませんでしょうか?
まだまだコートが必要な日は続きますから皆様の頭の中もコート一色といった感じかもしれませんね。

今回はコートもそうなんですが、冬の装いを見ていくのはどうでしょう?
写真がとりあえず、たんまりと余っておりますので、どんどんご紹介いたしましょう。
一応、私のプランといたしましては、色々な昔の写真や資料でざっくりとスタイルを把握した後、私が所有している生のコートでディテールを見ていくというつもりでした。
しかしながら、色々と写真が集まりすぎてしまい生のコートまでたどり着いておりません。
ですので、サクサク行きましょうね。(無論自分にそう言い聞かせているだけです。)

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サクサク行くとは言いましても、今回も重たくなりそうですよね。いつもどおりです。
泣く子も黙るHenry Poole のヴィンテージリーフレットが手元にありますから、それを紹介いたしましょう。

1920〜21年の秋冬のヘンリープールの提案といった感じです。パリの住所も書いてありますから、パリでのオーダー会か何かのリーフレットだったのかもしれません。
もちろん、私の手元に1920年に印刷されたオリジナルがありますから、インターネットで拾ってきた画像ではありませんよ。(きっと、転がってないと思います。)

右側の彼は随分とカントリーな雰囲気ですね。左の彼も随分とスポーティです。
この左側の彼を見て、すぐに"スポーティだなぁ〜"っと言う印象を受ければ、あなたは来るところまで来てしまった感じでしょうか?
全然シティで働いている銀行マンと言った感じでは無いのは分かってもらえるでしょう。
靴はシュッとしていますが、トラウザーズの裾はダブルで、パッチポケットです。

右側のブリーチズにウールのソックスというのも一昔まえの格好と言った感じですね。
イギリスの田舎で何かのイベントがあれば、こういった格好の紳士を見かけますが、ロンドンを歩いていることはもうほとんど見ることはないでしょうね。

前にも一度言及しましたが、"ホーズ" は通じませんから気をつけてくださいね。アリスにもアリスのお父さんにも通じませんでしたから、2世代のイギリス人に通じて無いわけです。(無論ウィルソン一家が全イギリス人を代表しているわけではありませんが。)
今この言葉をイギリス人が聞いて、頭で想像するのは、婦人用の下着のタイツ的なもののようですから、デパートで "ホーズを買いたいんだけど、どこかな?"なんて、バリバリにスーツを決め込んで質問しないほうが良いと思いますよ。
本物の変態紳士の方だと思われますからね。
イギリスで "ソックス"といえば、しっかりした長いソックスのことですから、わざわざ "ファッション知ってますけど?"といったシタリ顔でシェイクスピアが使っていた英語を使うことは、イギリスでは避けたほうが良いと思います。

ちなみにシェイクスピアを語るようなイギリス人はイギリスでは持てないタイプの人間が多いと聞きました。本物のオタク気質の人に映るようです。あとは単純に鼻につくのでしょう。
もしもあなたに会話の最中、藤原定家あたりを頻繁に引用してくる友達がいたら、あなたはきっと困惑してしまうでしょう?
もしくはガチな"本物"の方だと思いますから、そんな人がいたら逆にお友達になりたいくらいですけど、皆様はどうでしょう?
私は "ちはやふる"のカナちゃんみたいな歴女は好きな方です。

英国女子とのコンパで少しハイカルチャーに造詣が深いと思われたいのであれば、ホックニー、ダミアン・ハースト辺りの名前を言っておけば良いわけでして、いくら好きでもミレイやウォーターハウス辺りは自分の心に留めておいた方がモテるとおもいます。 ましてやシェイクスピアの話なんてした日には、そのコンパはきっと5番目の悲劇になるに違いありません。

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フォーマルな装いですね。
もうこの辺は、現代人が知っていてももう着る場所なんて無いと言った感じでしょう。
一言言わせてもらえば、そうですね、このグレーの縞パン。英語では"
ストライプト・トラウザーズ(縞のパンツ)といって、そのままな感じなのですが、これは意外と今でも使えます。
ジャケットでブラック、チャコールグレー、ネイビーなど色味を抑えたモノは大体がグレーの縞パンとの相性は良いのです。
しかし安っぽいモーニングスーツのトラウザーズを使いまわさないでくださいね。なぜか、この縞パンは安いものは非常にダサいですから。縞の感じもダサイですし、生地も無駄にシャイニーだし、どうしようもありません。
ですので、ビスポークしないのであれば結局仕立ての良いヴィンテージのモノを買うことになるんですが、(モーニングの上に比べ使い勝手も良いのでしょう、単品での相場は意外と高めです。)問題はそのシルエット。
いろんな色味に合わせやすいはずが、仕立ての良い縞パンは生地の雰囲気やそのシルエットも良く、手持ちのそこら辺で買った既製品のジャケットには結局マッチしないんです。特に100年以上前のS字が効いている"パンタルーンズ"のようなシェイプは結局そのものとバランスのあったシルエットをジャケットに求めることになりますから、その辺であなたはクラシックの迷宮に迷い込むことになるでしょう。(本物の"パンタルーンズ"は70年代に流行ったパンタロン(カタカナ)と語源は一緒ですが、全くの別物です。トラウザーズとパンタルーンズについての考察は今度ゆっくりやりましょう。奥が深いですよ。)
そんな入り口がヴィンテージの縞パンです。
日本語では"コールズボン"とか"コールパンツ"と呼ばれます。これは完全に日本語です。
縞のピッチが違っていたり、色味にも違いがあったりします。明るいのが昼用で、暗いのが夜用だなんだと言われるかもしれません。
まぁ、そんな細かいことは現代では気にすることは無いのでしょう。色味はジャケットとのバランスを考えて調子が良いものを選べば良いわけです。
誰も知らない死んでしまったルールを勉強するのは史学者であれば当然かもしれませんが、現在の日常生活では実践の場がありませんからね。誰も知らない言語ではコミュニケーションも取れ無いということです。

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オーヴァーコートですね。
全て膝ちょい下レングスですね。こういった雰囲気が20〜21年のヘンリープールの提案だったんですね。
コートだけを見れば、ほとんど今と変わりませんよね。これがコートの完成度の高さなんです。ほぼ100年たっても見た目に変化がないんですから、すごいですよね。袖を通すと現代の既製品とは全くの別物であることは分かってもらえると思うのですが、まぁ、そう簡単に100年前のコートに袖を通す機会は無いでしょう。

両端がサックフィッティングで、左2番目がセミフィッティング、その右隣りがクロースフィッティングだと非常に分かりやすいイラストです。

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冬場のスーツです。
左側は随分ドレッシーです。当時はダブルの裾が気分だったのでしょうか?
これを見る限りカジュアルな場合はターナップスが当時の空気感だったのでしょう。 それともそれが当時の"普通"だったのかもしれません。

肌を出すのは無論顔だけ、シャツが見えるのも首元、袖口だけ、ココらへんはもうお馴染みのクラシックの基本の"き"ですね。

以前にエドワード8世のジャケットのボタンについて言及しましたが、ここでももう一度振り返りましょうか?

ボタンの全留めが絶対にダメだなんて話は旧約聖書にも新約聖書にも載っておりません。(もしくはどこかの国の歴史の教科書にはダメだと書いてあるかもしれません。)
プリンスことエドワード8世、そしてヘンリープールがジャケットのボタンは全部止めるんだ、と言っているのです。(ウエストコート着用時はボタンを外しても基本大丈夫です。)
これは言わば、北のとある総書記が "もみあげを剃るのは男として当たり前の嗜みです。" と言えば、それが正解であるのと同義だということです。
20代前半の社会人、またはこれから新社会人となる皆様、ジャケットのボタンの使い方に頭なんて使わないで貰いたい。
そんなことよりももっと、頭を使うべき所があるはずです。
といいますか、そんな若い人がそもそもこんな私の文章に目を通しているのでしょうか?
もしも読んでいるのなら、あなたにはもっと他にやるべき事があるはずです。

まぁ、とりあえず座って窮屈であれば外せばいいし、寒いのであれば全て留めれば良い。
ボタンが付いていて、ボタンホールが開いているのだから、自由に使えばいい。
(段返りの話は別です。ちなみに、Savire Rowで段返りを一度も作ったことはありません。一度、昔見たかな??)
それでもまだボタンのルールはこうだ、なんだと繰り返すのであれば、ジャケットの一番下のボタンをハズし、シャツがチラチラ見えたり、そのデルタ地帯でタイがぶらついている方がよっぽどマナー違反ではないでしょうか?

誰が作ったかもわからないルールを声だかに叫ぶ先輩にはあなたもそれなりの論理武装をして望むべきかもしれません。

私からのアドバイスとしましては、論破してくる後輩は一番嫌われるので気をつけろと言うことです。