SARTO

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Overcoatについてですけども、チェスターフィールドコートにまで話は狭まってまいりました。
そもそも 今現在、"本当のOvercoatを着ている人はボーラーハットを被っているくらい少ない" とまで実は言われてしまうのですが、(どっかの本か何かで読んだのですが、誰が言ったかは忘れました。)そこまで、細かくとやかく言うことはやめたいと思います。
お世話になっております、をさないです。

昔のOvercoatはとにかく重たかったのです。それこそ、おばあちゃん家の布団くらい重かったわけです。これ、今の人はわからないでしょうか? 言ってしまうと、小型犬なら簡単に圧死するくらいの重さだったんですね。
(いや〜冬のアンデス5000mを超えた所で寝たときの毛布。あれは重かったですよ〜。暖房なし、しかも酸素も薄く、風邪なんて引いていましたから、気を抜いたら圧死していましたね。お陰様でおばあちゃん家を思い出しました。)

そんなこんなで、昔のコートとりあえず重かった訳です。しかし、今は誰も重いコートなんて着なくてもいい時代です。きっと皆さんのおばあちゃん家も羽毛布団であるように、ダウンジャケットを着ればいいわけです。
フェザーを抜いて厚みを抑えたダウンは今ではチェスターコートのインナーになってしまう始末です。(ダウンとフェザーの違いは大丈夫ですよね?昔のダウンウェアには10%はフェザーを混ぜていたと思うのですが、今はどうでしょうか?空気の層に厚みを出し、より防寒性があったわけですが、今ではスタイリッシュに100%ダウンというのが主流でしょうか?)
"インナーに着るダウン"というのは、これは実はある意味真理でして、本来羽毛布団を使い、通常の布団をもう一枚増やしたいのであれば、それは羽毛布団の上に重ねるのが正解なんです。(※私、北海道出身ですから。)
薄手のダウンをインナーとして着る。これは非常にソフィスティケイティッドな選択だと思います。まぁ、私はそういった類のダウンウェアは持っておりませんが、きっと良いモノだと思います。

とまぁ、ここまできたわけですけれども、最近は少々文章過多でしたので、ここらへんで一度ピクトリアルにお送りしていくのはどうでしょうか?
そちらのほうが皆様も楽しめるかもしれません。
まさか、年始なので私も手を抜きたいとか、そういったことではございません。
(寧ろ画像を集めるほうが時間がかかるくらいです。)

まずはじめは前にお送りしていた"Men's clothing and Fabrics in the 1890s" から残りのオーヴァーコートの画像がありますので、そちらをご覧に頂きましょう。

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"The Broadway Box Overcoat with Velvet collar" 

厚みがあり張りと重さがある生地はドレープを出すというよりもこのようなボックスシェイプで"ストン"を落とす感じで着るの方が運動の妨げにならないかもしれません。
ドレープを出そうと、余分なゆとりを出してしまいますと、その分重いですし、運動の妨げになることもありますので、ドレープフィットはその生地との相談が非常に大事になってきます。

オーヴァーコートでは襟にヴェルヴェットを使うことが多々ありますがデザイン以外に何かしらの利点があるのかどうなのか、私はまだ把握しておりません。多分無いと思います。(強いて言えば、傷んだ時に取り替えやすいかもしれません。同生地で処理しても、年月が立ったものは変色していますから、ボディと色が合いませんからね。)
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上と似たようなフィッティングですね。
皆様もここで古いファッションイラストレーションをある程度一緒に見てきているとおもいますが、一つお気づきになりましたでしょうか?
それは足の小ささです。

今の日本人はなぜかとてつもなく大きなサイズ感の靴を履きがちですし、どことなくジャストフィットの靴を履くと全身を見たときに足が極端に小さいような気がしてしまう人がいるかもしれません。
それは偏にあなたが大きいサイズの靴を昔から履いてきているだけなのです。

前にアリスと日本を旅していた時に "なんで日本人の男性は皆大きな靴を履いているの?"と言われたことがありました。
私は特にサッカーを長いことやってきた経験もあり靴のフィッティングにはきっと普通の人よりも悩んできた経験がありました。あまり極端なサイズ感の靴を履いたこともありませんでしたから、そんなこと意識したことすらありませんでした。
意外なミステリーでした。

こういった西洋に見るファッションイラストレーションだけでなく、中国の"纏足"(これは女性ですが)など、小さい足を良しと見る文化はあれど、足が大きいのを良しとする話を私は聞いたことありません。(極端な話、ハイヒールという文化も女性の足を小さく見せるという効果が多分に働いているためにここまで浸透しているのかもしれません。)
日本人男性固有の文化だと、今後は世界に伝えて行きたいと思います。(正直に言ってしまいますと、きっと顔を小さく見せるテクニックなのだと思います。)

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どうやら、当時のアメリカではずいぶんとカヴァートコートが流行っていたと手に取るように分かりますね(笑)
たまたまでしょうか?

トップにボリュームを持ってきて、細身の足だけをすらっと見せる感じは好きです。
最近だとジルサンダー辺りのシグネチャーイメージはこんな感じだと思います。ラフシモンズが指揮した "ジルサンダー初期のブランドイメージに忠実に"というコレクションはドレープではなく、こういったボックスシェイプが多かったですよね。

下にちょこっと見える"Vicuna"という文字。もちろんかの有名なヴィキューナでまちがいありませんがこの当時にももちろんあったのです。
昔の本にもちょこちょことその文字を目にしますが、本ヴィキューナのヴィンテージコートはそう簡単に目にすることはありません。

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<アンデスで写真に取ったヴィキューナ達。アンデスの高地にしか生息しておりません。>

ウィキペディア調べでは昔は200万頭ほどいたらしいのですが、60年代には1万頭にまで減ってしまったようです。いまではインカ帝国時代の伝統的な方法で殺さずに体毛を刈り、その数は40万頭ほどに回復してきているそうです。(ちなみに、あの小さなニュージーランドだけでも羊が3200万頭ほどいますから、ヴィキューナがどれほど少ないのかを理解していただけるでしょう。)

ここからは本で読んだ知識ですが、このヴィキューナという個体はどうしても人工飼育ができないようです。
これはヴィキューナに限らず動物の種には囲い込まれたり、過度なストレス環境下では生殖活動をしない種があるためです。こういった動物は基本的には家畜化できません。
それがどうしてもヴィキューナを貴重な繊維にしてしまう原因でもあります。もちろん、とんでもなく高品質で他と比べることができないほどの原毛ではあるんですけどね。
たとえ仕立てたとしても着ていく場所がないのがたまにキズですね。スカーフやマフラーくらいならいいでしょうけど、スキャバル辺で買うとすごいですよ〜(多分、その金額でSavile Rowで普通のブレザー仕立てられると思います。)
以外と知られていないのが、ヴィキューナはロロピアーナが安かったりする事です。これは昔からロロピアーナがペルー政府と独自のラインを持っているからのようです。

ヴィキューナについては今度特別なオーヴァーコートをお見せしますのご期待下さい。

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これもカヴァートコートって感じですけども、若干長い感じもしますよね。
こんなときはチェスターフィールドコートでも、カヴァートコートでもどちらでも正解です。
まぁ、名前なんてそれくらいあやふやなもんなんですね、実際。