SARTO

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さてさて、それではずいぶん放置しておきました私が勝手に選んでおります"20世紀傑作コート10選" ここでもう一着、付け加えたいと思います。
お世話になっております、をさないです。

一応、ここでおさらいしておきましょう。今まで、どんなコートを紹介してきたかといいますと、、、、

・バーバリー ウォーキングマック
・アクアスキュータム トレンチコート(WW2)
・ハンツマン ビスポーク ブリティッシュウォーム
・Barbour ソルウェイジッパー
・ベルスタッフ ストームコート
・グローバーオール オリジナル ダッフルコート

とこんな感じでした。今のところ6着ですね。
実はすでに10着全て整っているんですが、紹介するのに時間がかかっている状態です。
別に皆さんもそんなに生き急いではいないでしょう?
寧ろ、こんなことをやっていたことさえ忘れていたに違いありません。何を隠そうやっている本人が忘れていたくらいですか。

とまぁ、今回は7つ目のコートに集中したいと思います。
ここまでやってきたのだから、どんなコートかは予想がついていることでしょう。

ご存知 "チェスターフィールドコート" です。

上の選考からも判るように、すべて英国物ですが、私が選んでいるのだから仕方がありません。ある程度は妥協してください。
まぁ、そもそも"Coat"っと言っているのですから、割り切ったお付き合いをしてくれますと、こちらも助かります。

もうひとつ付け足してしまいますが、実は10選すべて英国物になる予定です。それだけコートが充実している国だと言うこともできますし、それだけ歴史も長いですし。贔屓目に見てもそこまで悪い選考では無いと思います。
ですが、アメリカに詳しい人ならまた違った10着になると思いますし、イタリアにどっぷりな人ならまた違った10着になることでしょう。
それはそれで非常に面白いですし、興味深い選考になるのではないでしょうか?
カナダのヴィンテージディーラーならなんと答えるのでしょうか? または上海のスタイリストならどんな10着を選ぶでしょうか?
そういった興味も湧いてまいります。

まぁ、この"20世紀"というのがポイントになってきたりします。
私が"Bodycoat"の類を選んでいないのはそういった理由です。こう言ってしまえば、たしかにチェスターフィールドコートも20世紀生まれのコートでは無いのかもしれませんが、20世紀の100年での進化、そして未だに愛されているという異常な事実。この辺を鑑みますとチェスターコートを無視することはできません。
初めから非常に完成度が高いガーメントだということです。

事実確認はしておりませんから、完全に私の憶測になってしまいますが、今にみるラウンジジャケットはそもそもチェスターコートが原型なのではないか?とも思っております。
ラウンジでリラックスできるジャケットはそもそもリラックスしたオーヴァーコートからインスパイアーを得て作られた、という私の考えです。たぶんかなりの確率で正解だと思っているのですが、この話は長くなりそうですし、もう別の話になってしまいますので、今後にすると致しましょう。

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まぁ、このタイプのチェスターコートというのは、今に見るジャケットを基本は大きくしたもので間違いありません。
このコートも完全にSavile Rowスタンダードな仕立てのコートです。60年代後期から70年代くらいのものでしょうか?もっと新しいかもしれません。タグがないので、こういった特徴が無いものはデイティングが少々難しいですね。
Savile Row仕立てのチェスターコートは紳士であれば一生のうちに一着は、と思っている方も少なくないでしょう。

仕立てる場合は、ジャケットを着たまま採寸します。生地は今であれば色々なパターンがありますが、それでもやはりジャケットほどバリエーションに富んでいるものでもありません。

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これは、ツイードの一種でして、カバートクロスと言ってしまってもいいかと思います。キーパースツイードという方もいるかもしれません。目の詰まったツイードです。
チェスターコートでもよく使われる生地です。
メルトン系のコート生地よりドレープが出て、若干軽快な印象ですが、実は重たい生地です。雨風にも強い良い生地です。

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イギリスのオーヴァーコートは基本総裏です。アメリカ人ははなぜか、背抜きが好きなようで、ジャケットも然り、オーヴァーもしかりのようです。

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後はチェスターコートの特徴といえば、ベントは基本センターベントですね。イギリスのジャケットはサイドベンツが多いですが、コートは基本サイドベンツでは作りません。
深く取ったセンターベントに人によっては中間の辺りに一つボタンをつけるかもしれませんね。
このコートに腰のベルトやバックプリーツは無いのですが、こういった一番シンプルなものはどうしても一着は必要だと思います。2着目、3着目の仕立てであるなら色々遊んでみるのも手だとは思います。

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袖はワーキングカフではなく、"ターンバックカフ"。人によっては"ターナップカフ"と言うかもしれませんが、正式にはTurn Back Cuff 。
ターナップカフはきっとアメリカのパンツの裾がダブルな状態のことだと思います。ちなみに、イギリスではトラウザーズに"カフ"という言い方は使いません。(だと私は信じていますが、一応飲み会の席で薀蓄として使う場合はダブルチェックの方よろしくお願いします。)
コートの袖がワーキングカフの必要があるのかわかりませんが、ターンバックカフの場合、ある程度の重さがでて袖がきれいに落ちますから、見た目のデザインだけでなく実利がある気もいたします。

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私はチェスターフィールドコートはダブルのほうが好きなのですが、ダブロのコートは別に色々良いものがありますから、シングルの仕立ての良いコートを今回は選ばせてもらいました。(今まで選んできたコートもダブルが多いですし、)

ラペルはジャケットよりも若干大きめにしないとやはりバランスが悪いと思います。
このコートでは4 ¼ インチあります。
フロントボタンは見てもらえば分かる通り、普通のジャケットよりも内側に来ていますよね。シングルでも大体2 ½ インチ〜2 ¾ インチはエッジから離れているはずです。ときどき、コートでもジャケットのようなボタン付けをしている物がありますが、それはクラシックな範疇では完全に間違いです。デザイナースクローズであればデザインだと言い訳できるとは思いますが。
それとシングルであれフロントヘムもカーブでは無くスクエアーが基本です。

ポケットも大きく取られ、フラップもそれにつけて大きくなります。そうですね、あと付け加えるとしたら、このコートももちろんですが、ポケットバッグにコットンフランネルを使います。
その方が温かいです。日本で仕立てたコートでこういう仕様になっていたら、きっと "わかっている" カッターさんなのだと思います。
もちろん、フランネルでない場合もありますから、心配はしないでください。そこでクオリティが変わる訳ではありません。
アウトブレストポケットはつかない場合も多いです。まぁ、ここらへんはどっちでも正直いいでしょう。

こういったスタンダードなチェスターコートをブルーかグレーで持っていれば、もう貴方の冬は何の問題もないはずです。