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SNSの発達もあり、ここ最近の"ピッティウオモ"というコンテンツが非常に賑やかになっているのは皆様もご存じのことでしょう。
ピッティ自身の本義が問われてはいると思いますが、もうお祭りで良いだろう、という空気も実際感じますね。経済効果もずいぶんとある事でしょう。しかも年に二回ですよ。

それにしても、あのタチンボ男性陣の真意はいかがなものなのでしょうか?
本当にただただ、どこの馬の骨とも分からないブロガーのカメラに写りたいために、暑い中、または寒い中タチンボをやっているのでしょうか?
またはインディなブランドの販促のためにタチンボをしているのでしょうか?

きっと、"あの人達は何をしているのだろう?"と思ったことある人も多いでしょう。私もそんな一人でした。

お世話になっております、をさないです。


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<去年のイタリアにて>

私は以前にこんな本を手に取り書店で立ち尽くしたことがありました。

"世界一周ホモの旅"

私はそのド直球なタイトルとどこか愛くるしいゆるキャラ的なホモのイラストに心をわしづかみにされてしまったようでした。
しかし場所は公共の本屋です。皆様もご存じの通りチキンハートでお馴染みの私はさすがにその本を持ってレジまで進む事は出来ませんでした。
とはいいましても、良い時代です。
一度聞いたらもう二度と忘れることは出来ないであろうそのタイトルをアマゾンでワンクリックにて勝負有りです。

そして、購入後二度目の衝撃です。往年のアニメから言葉を借りますと、セカンドインパクトです。

この原作のサムソン高橋さん、なんとあの伝説のブラクラとまでささやかれたホモビデオ "淫乱テ○ィベア"の監督だったのです。
もう随分昔の話ですが、グーグルで検索してはならない単語というのが流行しまして、(まだグーグルの検閲が甘かった時代でしょうか。今ではそのリストを検索してもヒットしない事でしょう。)"淫乱テディベ○"はその中にリストアップされていた言葉でもありました。

※この淫テは今でも、ヒットするでしょうから、心臓が弱い方、未成年の方は検索しないでください。ちなみに、この淫○テディベアを淫テと略すのが正しいのかどうなのかは一切不明です。

15年くらい前の話でしょうか?この作品で私は世界の闇の深さに度肝を抜かれた物でした。
(無論、その作品を鑑賞はしておりません。ソットジ且つブラウザヒストリーをクリアー致しました。)

とりあえず、このセカホモ(世界一周ホモの旅)は非常にポッブな漫画形式で話されるガチホモドキュメンタリーなのですが、まさかあのどぎつい作品を世に残している人とは思えないくらいライトにかかれています。そして、無駄にと言っては失礼かもしれませんが、なんでしょうか、この文才。
難しい言葉でもって、難しい事を書くのが文才なのでありましょうか?
圧倒的に読者を引き込むその文章力が文才以外の何物でもないと考えさせられる作品です。(ガチガチにゲスな言葉でゴリゴリにゲスな事しか書いていないから引き込まれたという説もあります。)

私も随分世界を旅しております。しかしながら、このセカホモでは私が想像すらしない角度からの世界が描写されております。(まぁ、角度とはいいましても真っ正面から世界のゲイサウナをお送りしているだけですが、、)

あなたは確実に気づかされることでしょう。いつでもあなたの隣には全く別の世界が広がっている事を。(別にめくるめくホモの世界が広がっているということではなく、もっと大きい意味で知らない世界が広がっているという事です。)

私はふいに、この本のこと、そして多角的に本質を探るということを思いました。
そして、ピッティが開催されている日のフィレンツェの夜も、もしかしたら私が知らなかった一面があるのではないか、と考えました。

とりあえず絶対に嫁には勘違いされたくない言葉でもってググりなぐってみました。(一応検索単語は非公開とさせていただきます。)

あまり長期戦になり、それこそアリスが部屋に入ってきてしまうと色々と終わってしまうので、どれだけ早く欲しい情報を手に入れるのかが勝負でした。まぁ、このへんのテクニックは男性であればある程度腕に自信がある方もいるとは思います。それにしてもゲイサイト閲覧がばれたときのダメージは常軌を逸するでしょうから、正確にそして迅速にタイピングをし、一目散に欲しい情報にダイブするのです。

簡潔にそこで得た知識を箇条書きにしてみましょう。(英語で検索しております。)

・フィレンツェには一件だけゲイサウナがあり、その世界では有名である。

・そもそも、芸術の街フィレンツェはゲイの割合が他の街に比べて高い。

・ゲイガイド&ゲイマップ フィレンツェ2017にはピッティウオモもリストアップされている。

・ゲイ専用のヨーロッパトラベルサイトがあると知って軽く衝撃を受ける。

・ゲイ専用ホームステイサイトがあり、(詳しくは調べていないが、タダで泊まれるようなので、ほぼ出会い系カウチサーフィングといったところであろうか)なんか、ゲイはお金も節約しながら簡単に楽しく旅を満喫できそうだなぁ、と少し嫉妬する。

・"ゲイ専用"とタイプすると、共感覚なのか、なぜかタイポグラフィが赤色に見える。

・こういう単語でしか検索をしていないがG○マガジンがヒットする。


とまぁ、こんな感じでございます。

重要なポイントとしてはピッティはゲイイベントとしてもその筋のサイトでは常にリストアップされるほどに有名であると言うことです。

そして、忘れてはならない事をもう一つ、<祭りはエロスで盛り上がる>と言うことです。
別の良い方をすれば、盛り場の裏にはエロスがある、ということ真実です。

ほとんどのブラジル男性が童貞をサンバカーニバルで捨てる事実。若い男女のデートする口実である夏の花火大会、そしてナンパ目的の海。
コミケなんて三日間で50万人集めるのですよ。エロ本買うためにそれだけの人が集まるわけです。

人の集まるところにはエロスがあり、人間の行動力の根底にエロスがあると言うことは紛れもない真実です。

今、メンズファッションのイベントで一番人が集まるのはきっとピッティだと思います。

もう私が言わんとしている事はおわかりでしょう。

着飾ったタチンボ男子達は本当にただただスナップを待っていると、未だにそうおもっているんですか?
わざわざ足を運ぶ必要のないシルバーヘアーの業界の大御所が世界中からフィレンツェに集まるのは、スナップされたいからだと思っているのですか?ましてや、トレンドリサーチやバイイングの為だと思っているのですか?

バイイングと言いましても、本当にバイイングしている物は、、、、、、



夏も近いと言うことで、こういったお話も一興かと。

最後に一言忘れてはいけませんね、"信じるか信じないかはあなた次第です。"

このタイトルの既視感、それは買ったけどやらなかった参考書なのか、それともどこに行ったのか分からない、きっと家のどこかにはあるのだろう保存版と銘打たれたファッションのムック本なのでしょうか?
お世話になっております、をさないです。

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このSRCでは以前から"スーツなんてあなたの着たいように着ればいいのではないだろうか?"っとどこか投げっぱなしでしたし、もしかしたら若人達を混乱させたのかもしれません。

"自由に好きなように" という言葉ほどあなたを束縛する言葉は無いでしょう。
これは非常に難題だったとおもいます。

もう私もこの機会だから言ってしまいましょう。

<おしゃれな雑誌で言っているとおりに着ておけば良い> と。

"結局なげやりじゃねぇか!"とつっこみになられたでしょうか?
それはいたしかたありません。私がどんなテクニックや知恵を紹介したところですべて何かの焼き増しになってしまう事でしょう。

しかし一つ、皆様に勘違いしてもらいたくないのが、どんな本や雑誌でスーツの着方や装いを勉強しようがかまいませんが、それらはあくまで単純なテクニックであって、スーツをそのように着なければいけないというルールであったり、ましてやドレスコードなんて言うたいそれたものでは決して無いと言うことです。

私がずっとここSRCで言ってきましたのは、スーツを着るのにあまり難しく考えないで欲しいと言うことでした。
スーツはそんなに仰々しい物でもなければ、小難しい物でも実際ありません。
好きなようにボタンを使えばいいですし、ポケットも自由に使っていただくのが本来あるべき姿です。
Tシャツの上にジャケットを羽織って襟や袖口を汚そうが好きにすればいいでしょう。

正直私はあなたが何をどのように着ようがどうでもいいのです。ほとんどの人があなたの恰好を気にはしていないことでしょう。それほど他人はあなたに興味もありませんし、みんな自分の事でいっぱいいっぱいであります。

しかし、このようにドライではない、自分にゆとりがあり、且つあなたたちの力になりたいと思っているウェットな人達(中にはさらっと本でも売って小銭を稼げれば良いと思っている人も多いでしょう、)が "ここはこうして、ここはこうする方が垢抜けて見える。" "ここをこうすれば今っぽいし、絶対にモテる!" 、と昔からテクニックを丁寧に教えてくれているのです。
初めは開国を迫った外人が興味津々な日本人に指南したのかもしれません。
そういった綿々と続く歴史あるテクニックなことでしょう。

問題は上にも行ったように、そのテクニック自体が力を持ちすぎたのか、暴走しはじめ<〜しなくてはいけない><〜してはいけない>になってしまっていることなのです。
その数が増えると勉強熱心な若者でも尻込みしてしまうでしょうし、倦厭してしまうことでしょう。

しかし、そんなに難しく考えないでください、それらは単なるテクニックでしかないのですから。

きっと、昔の親切な大人達が "スーツのルール20"とかそんな感じで書いてしまうものだから、いつの間にか、そうしなくてはいけないものだと信じているのだと思います。

ドレスコードに至っては、ブラックタイであったり、ホワイトタイというのが本物のドレスコードですから、全くもって話が違ってきます。
シャツの袖口がジャケットよりも長いのはドレスコードでも何でもありません。ジャケットを汚さないという知恵です。
ビジネスの場であれば、そのビジネスごとの場にそぐわしい恰好というものがあるでしょうから、先輩から学ぶのが賢い選択でしょう。(そこら辺が後輩力という奴でしょうか?)それらも、ドレスコードではなく社会人の常識っといった所です。

3Bジャケットの真ん中のボタンを使うのも2Bの上のボタンを使うのも、クラシカルな範疇ではそこがウエストラインであるため、そのボタンを留めると適当にウエストが絞れ、シルエットが綺麗に見えるためです。(ちなみに、一番下のボタンの高さとサイドポケットの高さが同じとされているのがクラシックですね。今では少ないのかもしれませんね。)
こんなものルールなんて呼べるものでもなんでも無いでしょう。
興味のある人は知っている知識でしょうし、知らない人にはどうでも良いことでしょう。
もしそれでも、それがルールというのならソースを出して欲しいものです。私はSRCで腐るほどウィンザー公のボタン全ドメ写真や同様に全ドメの20sヘンリープールのカタログまで紹介しています。SRCに長くつきあってくれている方はご存じのことでしょう。(まさか、どこかのウェブサイトを貼ってソースとか言わないでくださいよ。卒論の参考文献がウィキペディアでも卒業させてくれる大学でも相手にしてくれませんよ。)

ポケットにしたって、バカみたいにものを詰め込めばそりゃシルエットは崩れるでしょう。洒落たバッグでも使った方がスマートというものです。かといって、初めのしつけをつけたままというのもおかしいでしょう。

これらは単なるテクニックや知恵以外の何物でもないでしょう?
ですから、若人はスーツに畏まらず、自然体で楽しんでもらいたい。

もし、これみよがしに "え?知らないの?" っと他者に得意面する人がいるのなら、ずいぶんとさもしい人なのでしょう
きっと、隣の人があなたの知らないことを沢山知っていると分からないほどに知見がないのです。
ちょっとファッション雑誌を購読していたり、ブログで読んでつけた知識であなたが他人よりも偉くなれるほどこの世の中は簡単にはできていないと普通なら分かることでしょう。

と、まぁ、ここまでは良いのです。きっと皆様も私の言いたいことを理解してくれていることでしょう。
まとめますと、スーツなんかに肩肘張らずに気楽に行きましょうと、そしてちょっと垢抜けてみせるには色々とテクニックがあるから、気軽に調べて参考にしてみればいいのではないか、という話です。

さて、問題はその次です。

テクニックは使いすぎるとあざとく見えるということです。それがテクニックの難しいところなのです。
即効性もあり、なぜかそのテクニックをつかうだけで垢抜けて見える気もします。それだけに落とし穴ももちろんあるのです。

きっと、最上のお洒落、要は "堂に入る" というレベルは<自然体でさりげない>というの事で異論はないと思います。それゆえ最難であるというのは皆様もおわかりでしょう。
一挙手一投足が参考書等で学習したものではなく、日々の生活から脈々と積み重ねられた事なのです。
プロのバレリーナが朝、ベッドから降りる最初の一歩からバレリーナであるように、息をするように格好いい人は格好いいということです。

"ファッションやってまぁ〜す!" で、お洒落に見えるかもしれません。しかし上の定義から言うと最上には決して及ばない。

それではどうすればいいのでしょうか?

私はそのテクニックが必然であり、そして理にかなっていればいいのだと思います。そして"ファッションやってまぁ〜す!雑誌読んで勉強してまぁ〜す!" とは絶対に主張してもいけません。(もちろん、やっていていいですし、勉強していて良いのですけども、それを主張してはいけないということです。粋な人は努力を見せない物です。)

それではもっと、簡単に言いましょうか?

"つっこまれるな!"

これです。

これが現代のダンディの指針になる一つのラインだと私は思っています。

無論、相手に無言で "こいつ今日やってんなぁ〜"っと思われているのも、つっこまれているのと同義と致します。あなたは口ではなく、恰好で"やってまぁ〜す!"と叫んでいるわけですからね。

テクニックに関してもそうです。

・"なんでわざわざ、カフのボタン外しちゃってるの?"
・"暑くもないのにそこまでシャツあけちゃう?"
・"ボタンダウンシャツのボタンはダウンさせない派だ?"
・"靴下の左右をあえて色変えるタイプだ?"
・"ダブルモンクのストラップは一個外してシングルにしちゃう感じだ?"
・"へ〜ここ日本だけどイタリアでは普通なんだぁ?"
・"ダブルのジャケットそう着ちゃう?"
・"百万円近いレザージャケットにユニクロのパンツを合わせてます、ってわざわざ教えてくれるタイプだ?"
・"今はとりあえずピッティ叩いとけば良い感じだ?"
・"へ〜好きすぎて色違いで何枚も持ってるんだぁ"
・"彼女に選ぶ女性は音楽の趣味が合わないとだめなんだぁ"
・"なるほど、好きな音楽じゃなくて好きなファッションがロックなんだぁ"
・"マラドーナも二つつけてるんだぁ"
・"一周してお洒落なやつだ"
・"ジョニーデップと同じなんだぁ。"
・"それレディース物だぁ"
・"へ〜昨日全然寝てないんだ〜"
・"今日テストなのに、昨日は九時に寝ちゃったんだぁ"
・"見つめ合うと素直におしゃべりできないタイプだぁ"
・"え、これですっぴんなの?"
・"ん〜出せるけど、パス。"
・"♯カリスマ"

不条理でしょう。これではつっこまれます。こういった事は肉食獣のかっこうの餌であったりするのです。国民総つっこみ時代です。

前にも言いましたが、ファッションを楽しむと言う範疇ではつっこまれようがどうしようが楽しくいこうぜ!というハートの強さも必要だとおもいます。
しかし、そんな強靱なハートを持った人はあくまでごくわずかなのです。言葉以外のそういったファッションの主張も場合によってはマイナスに働いてしまう事もあるとおもいます。

スーツであったり、クラシカルなダンディ像を自分のアイコンとしているような人はつっこまれないような装いが正解に一番近いように私は思います。

"やっている"のだけれどもそうみえないのはそれが必然且つ理にかなっているからなのでしょう。それゆえつっこめない。 (ゲイのファッションコメンテーターは"おもしろくない、踏んづけてやる!"と言うかもしれませんが。)
それは間違っても、悪目立ちしたへんに主張した恰好にはならないでしょう。

<理にかなった装い>をしている事が肝心なのです。それは結局往年のダンディズムである<さりげなさ>の心にも通じていると思いますし、<堂に入る>事の一つの解釈になるのかもしれません 。

新しい生活に胸を躍らせている人達も居るかもしれません、時は4月となりまして、春の麗らかな日々に刻む足音のテンポもいささか速まっているかもしれません。
会社の親父達も新しい女性社員達の醸し出す、何とも言えぬさわやかな香りに "いったい昨晩何を食えばこんな香りを醸すのだろうか?"と疑問をもっているかもしれません。
私はチキンとニンニクをしこたま食った日の翌日のオナラを嗅ぐと、きっと地獄のトイレはこんな匂いなんだろうなぁ〜っと思わずにはいれません。(雰囲気はロダンの"地獄の門"を参照ください。無論、オナラを嗅いだときの自分は"考える人"のようになっております。臭いと共に下にこう、地獄が広がっていくような感じです。)
お世話になっております、をさないです。

皆様、前回のSRCでは攻殻について書かせてもらいましたが、すでに劇場へは足を運びになられたでしょうか?
原稿がアップされてから、読み返したところ、とんでも無い馬鹿げた間違いをしていて、自分で笑ってしまったのですが、気づかれた方もいるのではないでしょうか?
SACの監督は"神山健治"さんです。間違っても、"神谷"さんではありません(笑)。
間違えないようにウィキでダブルチェックした上で、しかも山と谷を間違えている始末です。
どれだけ私の文章が右脳メインで書かれているのかが分かると思います。かっこいい良い方をすれば右脳型ライターとでもいいましょうか、名前を想像したら、そのイメージが浮かんできて、そして"谷"と打ち込んでいたのでしょう。非常に近いですよね。イメージと致しましては。惜しいです。
もしくはゲス川谷から引っ張られたのでしょうか?そしたら、本当にかれは罪な男ですよ、本当に。

と、まぁ、そんなこんなで私の頭も春まっただ中と言った感じですが、皆様はどのようにお過ごしでしょうか?
このSRCでは世界のファッションから軽く一周半くらい遅れをとっていると思いますから、寧ろ早いのではと錯覚することもあるほどです。本当は2015〜16年の冬にやる予定だったオーヴァーコートの件。気づけば2017〜18年の冬のオーヴァーコートの話にすり替えようとしておりますから、皆様お気をつけください。
要はこの前の続きをする訳ですが、また飽きてきたら何か適当に挟み込んでいく予定ですので、心臓の弱い方はある程度準備しておいてください。

それでは今日のコートです。

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チャコールグレーのシンプルなオーヴァーコート。ブランドも年代も不明なこのコート。非常に丁寧なハンドテーラードで仕立てられた上等な一着です。

ジャケットやコートなんかについて語られるときは猫も杓子も"仕立てが良い"という魔法の言葉に頼られてしまうのですが、一般読者または一般消費者の皆様には何が何だか分からないお話だとおもいます。心配しないでください、言っている人の80%も分からないでとりあえず"仕立てが良い"と言っているのですから。
言っておけばある程度の体裁は保てるという言葉の一つです。皆様もそういった類のボキャブラリーを増やすと人生楽になると思います。
特に同窓会の一次会から二次会のカラオケに行く道程では相当肩で風を切って歩けること請け合いです。
(ちなみに、海外に住んでいて良いところの一つは、微塵も同窓会の誘いが無くとも、"海外に住んでるからみんな気を遣ってくれている"と自分に言い聞かせることが出来ることです。
外国住みの人で同窓会や友達の結婚式に参加できないのが海外に出ることの辛い所かなぁ〜などと言っている人は100%嘘つきです。インビテーションなんか100%届いていません。)

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正直言ってしまいますと、こういった物は非常にデイティングが難しいです。間違いなくイギリスのビスポークテーラード物ですから、この類のボタンと雰囲気から言えば古くて60年代の後半といった感じですけど、状態は抜群に良いですので、ブランドタグがついていて80年代と表記があれば、それはそれで納得できてしまえます。
格好いい言い方をしますと"ポストモダン"ってところでしょうか。
この辺りの当たり障りのないハンドテーラードコートのデイティングはタグが無ければ非常に困難を極めます。ですので、我々もおおざっぱに"ポストモダンな感じだね。"と言うことにしてしまえば、良いのだと思います。
これも、ある一定の体裁が保てるボキャブラリーの一つでしょうか?
ちょっと新しめのビンテージクローズなんかを見ましたら乱発しちゃってください。
友達と顔を合わせば開口一番 、"今日はあれだね、ポストモダンな感じだね"、これだけでOKです。

後は何か音楽が聞こえたら、"プログレッシブ"、と"アルタナティブ"、アートを見たら"アヴァンギャルド"、そこら辺においてある物は"アールデコ"、飛行機見たら"
エミレーツ" と適当に言っておけば政令指定都市以外であればあなたは無敵でしょう。

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すみません、明度を上げなければ全然ハンドスティッチが確認できないかもしれません。
非常に丁寧にびっしりとハンドスティッチで仕上げられております。

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今度はぶれていますね。ちなみに私、趣味は写真です、と言ってしまう類の人間です。これでは写真関係の仕事が舞い込んでくることは無いでしょうね。
手で仕上げられてるパッチポケットです。
写真はぶれていてもそれが判りますよね、それは偏に私の写真の技術の高さなのかもしれません。

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フラップ裏にでもハンドスティッチが見て取れますね。

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そんなに短いコートではないのですが、非常に短いベントです。ここまで短いベントはそう見ることはないと思います。

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ここら辺のライニングの処理も非常に綺麗ですよね。
スリーブライニングは無地の共地が使われております。この辺は少しばかしポストモダンな香りがしますが皆様にも届いているでしょうか?

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この辺のトリミングも非常に綺麗ですし、状態も良いですね。
ビンテージ物はこの辺の状態の悪い物が多いです。目にもつきやすいところですし、間違いなくチェックする所でしょう。

まぁライニングで言えば、オーヴァーコートのアームピットにスウェットマークがあるものはほとんど無いでしょうから、バックネック、袖口裏、それとヘムの辺りは基本摩耗が激しい箇所になりますから、ビンテージ物の購入の際にはその辺の状態はチェックを入れるに越した事はないでしょう。

もちろん、皆様がお持ちの大事なコートも同様です。その辺りをある程度ケアして着てあげるとコートの寿命は延びるというわけです。

女性でSRCを読んでくれている人は少ないかもしれませんが(ゼロでも全然私は驚きませんよ。)、デートする男性のコートのこの辺りはチェックを入れるのも手かもしれませんね。
ちょっと小綺麗に見える男性でもこの辺りが非常に黒ずんでいますと性格はけっこうずぼらなのね、と言うわけです。
スエットにキャメルのチェスターなんかを羽織ってしまう男性のコートには特にチェックした方が良いでしょうね。
キャメルと言うよりインドの野良犬みたいになっていますから、きっと。

まぁ、女性にしてみれば、男性のコートの首裏がヨハネスブルグの路地裏のような色になっていても、その男性が話をよく聞いてくれるセックス上手な人であればそれで良いわけですから、モテるための優先順位にコートは関係ないとは思います、結局。

ただいま3月の18日、土曜日にこれを書いております。
一応、今回は日付を書いておかなければ少々話かこじれそうですから、はじめに断っておきます。

お世話になっております、18日のをさないです。

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いやいや、なんでこんな事を言ってしまうのかといいますと、そうなんです、Ghost In The Shell攻殻機動隊の実写版がイギリスでは今月末に公開するので、楽しみでしかたがないからなのです。すでに公開初日のチケットもブッキング済みでございます。
日本では4月7日のようですね、皆様の中にも劇場に足を運ばれる方も多いのではないでしょうか?

日本の劇場では吹き替え版が流れるのでしょうか?
アニメ版のファンが楽しみにしているのはこの吹き替え版キャストがアニメと同じメンバーで構成されているという点もあるでしょう。
きっとイギリスではオリジナルバージョンでしょうから、私は吹き替え版はDVDが出てから楽しみたいと思います。

もちろん今回は皆様の中には攻殻にまったく縁もゆかりも、そして興味すらないという方も多いかもしれません。
寧ろ、今回の映画でその名前を頻繁に聞くのでちょっと、予習してから劇場に行きたいという意識高い系の方もおられるでしょう。
とはいえウィキペディアを読んでも長いしメディアミックスされているし色々なバージョンがあったりして、すでに心が折れているかもしれません。

ですので、今回は50代からでも始められる攻殻機動隊のお話をしたいと思います。もちろん、見たことも聞いたことも無い20代30代の方も是非ゆっくりしていってください。

さてさて、まずはその概要です。攻殻機動隊のオリジナルは士郎正宗さんの漫画になります。
色々なコミック版もあるのですが、この士郎正宗さんの攻殻機動隊Ghost in the shell、Human-Error Processer、Manmachine interfaceの3つが基本的にはオリジナルです。
しかしながら、この3つから始めるよりもアニメから初めてみまして、好きであればこのオリジナルの漫画も読んでみる、と言うスタンスの方がおすすめかもしれません。

士郎さんの世界観は本当にサイバーパンクが好きな人にしかついて行けないかもしれません。漫画の欄外補足がえげつないボリュームですし、少々アートワークにも癖があるので、皆様にはまずアニメをおすすめ致します。

それではアニメです。
アニメにも何種類かあるのです。それでは何を見ればいいのだろうかと憔悴してしまったことでしょう。

とりわけ監督さんでアニメは分けられます。大きく分けて3つです。

はじめは最初の劇場版の監督を務めた押井守さんの押井攻殻。
そして、その後のTVシリーズの監督である神山健治さんの神山攻殻。
そして最近のTVシリーズ兼新劇場版(ARISE)のメイン監督である黄瀬和哉さんの黄瀬攻殻。

これらの攻殻シリーズは世界観を共有しているだけで別物の攻殻機動隊と捉えていただいて結構です。
ですから、発表された時期から順々に見ていっても困惑してしまうかもしれません。
監督ごとに消化していくのが得策です。まずは押井攻殻から始めましょう。

アニメ初登場の劇場版は1995年なのですが、2008年にデジタルリマスターしていますので、今のアニメに慣れている人は2008年版を見てから2004年のイノセンスを見るのも良いと思います。話はつながっております。
この二つはサラッと見れてしまえますし、今回の実写版を見る前に見るのであればこれらを抑えておけばいいでしょう。
押井守さんの話はまた長くなりますから、みなさん各々ウィキペディアでも読んでください。

そして、この世界観が好きであれば、神山攻殻のTVシリーズに行きます。
より攻殻のディテールが掴めると思います。

TVシリーズのはじめは攻殻機動隊 Stand Alone Complex。インターネットを使ったことがある人なら、一度くらいは見たことがある"笑い男"のアイコンはここから生まれました。その通称"笑い男事件"が物語のコアになるシリーズです。
この神谷攻殻はStand Alone ComplexシリーズとされS.A.C.と書かれたりしますから、これがあれば神山攻殻です。
セカンドTVシリーズがS.A.C.2nd GIG。
3つ目が、S.A.C. Solid State Society(SSS)。これは長編の1話完結物。

押井攻殻では初めの劇場版、"人形使い事件" 後に主人公である"素子"はチームであり攻殻の核でもある"公安9課"をさり、イノセンスではチーム内の"バトー"に話はフォーカスされます。
同様に、神山攻殻では2ndGIGの"個別の十一人事件"後、やはり素子は去り、SSSの9課は"トグサ"がリーダーになっております 。

素子がチームを去るのがいわば攻殻の既定路線でありますから、今回の実写版でも一つの事件を追い、素子の内面にフォーカスし、その事件後、(または後々)彼女はチームを去るというのが一つの流れになると思います。

今私が話しているのはスポイラーではなく、基本的な攻殻の流れですから、ご安心ください。

最後は、原作から数えて4つ目となりますから、"第四の攻殻"と言われる黄瀬攻殻
のAriseシリーズ。
これは9課発足以前から話はスタートしますし、声優陣が変わっていたりと、以前までのファンを少し突き放す仕様になっていますから、一応心の準備が必要になります。

このARISEシリーズを観るかどうかは皆様にお任せします。というのもこのシリーズ前までで、実写版を観る予習は完全に終わっていますからね。
実写版を観た後に観てみるのも良いかもしれません。

Ariseシリーズは劇場版の全四章とそれを再構成したTVシリーズ、そのTV
シリーズはArise Alternative Architectureと呼ばれ、その最後の2話がArise Pyrophonic CultというTVシリーズオリジナルストーリーのお話で、2015年の新劇場版につながっていきます。
黄瀬攻殻のDVDは初めの四章が1〜4巻で5巻がPyrophonic Cult、そして新劇場版の6枚と言った感じです。

押井攻殻の影響もありアニメの素子は全編を通じ非常にクールなキャラクターですが、実はオリジナルの士郎さんが描いた素子はもっと破天荒で天真爛漫な印象だったりします。実写版でもきっと素子はクールにイメージを保っていることでしょう。


さて、それでは実際にDVDを観る前に簡単な予備知識も頭に入れておきましょう。
先ず物語を語る上で抑えておかなくてはならないのが、"電脳"
という存在です。これがシリーズの世界観に絶対的に関わって参ります。

攻殻の世界は簡単に言えば化学が発達してロボットやAI、人間との差が無くなってきているよくあるサイバーパンクな世界観です。そして、そこに電脳というものがあります。
それを掻い摘んで言ってしまいますと、脳みそにパソコンが移植されたような物という感じです。
インターネットには頭の中から常にどこにいても繋がれるような感じです。
こういった世界ではさまざまな形の犯罪がやテロがあるわけです。それを解決するチームが攻殻機動隊といわれる公安9課というわけです。

しかし本当のところはそういった世界の住人の心の問題がおもしろいところであったりしまして、それが物語の重要なところだったりします。

発達したAIやロボット、アンドロイド、サイボーグ、そして人間。何がそれらを分かつのでありましょうか?
ゴースト(魂のことをこの物語ではとりわけゴーストとよびます。まぁ、英語でも魂のことはゴーストと訳せるようです。)はロボットには宿らないのか?または、高度に発達したネット世界に実体を持たないゴーストは存在しえるのか?
人間にしてみても脳からの電気信号で動きとDNAにある情報で個体を識別できるにすぎません。そのどこにゴーストを宿しているのでしょうか?

少佐こと素子は脳の一部しか人間のころのオリジナルを持っていません。そして、彼女は"超ウィザード級ハッカー"(これは良く出てくる表現です。)で、電脳戦の超エリート。簡単に相手の電脳にハッキングをかけますし、自分の体(通常仕様している慣れ親しんだ体)とは別の体を同時に操作してしまうことすらある。
もうこうなってくるといったい何が彼女自身なのか分からなくなってくるのは自然なことでしょう。
自分の持っている記憶も自分の物なのか、それともどこかで改ざんされているのか、もしくは膨大なハッキングや記憶の同期などからくる疑似体験なのか。そういった素子のアイデンティティの確立もすべての物語の核になります。



さて、ここからは31日の私こと、をさないがお送りしております。

簡単なレビューとしけ込みたい訳ですが、あまり詳しく書きましては興ざめとなってしまいますし、なにせスポイラーになってしまいかねませんのでよすといたしましょう。

まぁ、スポイラーと言いましても、あまり脚本についてはスポイルするほど書くことが無いというのが正直なところです。
良いか悪いかは別としまして、私が英語で見ても簡単に理解ができるほど単純な脚本になっていますので、全く攻殻を知らなくても劇場に足を運べる仕上がりになっております。
それにしても映像につきましては、私は初めての3D映画だったのですが、さすがはハリウッドといった感じでしょうか。映像とその迫力を楽しむ、というのがやはり近代の映画の核になる楽しみなのだと再認識致しました。
音楽は少々ハリウッド的すぎて萎えるかもしれませんが、これはハリウッド映画ですのでこんな感じなのでしょう。

押井攻殻の最初の劇場版でみたシーンがいくつかありますので、アニメと実写での映像の対比という意味では、やはり押井攻殻は観ておいた方が楽しめるかもしれません。

さてさて、長くなりましたがそれでは皆様が劇場に足を運ぶかどうなのかは、ぜひあなたのゴーストの囁きに従ってみてください。

ダブルのオーヴァーコートならまだしも、スーツとなると少々普段着にするには難しいとお思いの方も多いかもしれません。
そうですね。少々貫禄が出過ぎてしまう、またはやはりお堅い感じもありますよね。
日本のお葬式だと年配の方の喪服はだいたいダブルだったりしますし、そういったイメージもあるかもしれません。普通のビジネスでは結局シングルを着ておくのが無難なのでしょう。
服装が比較的ゆるい職場であれば、ジャケパンの上をサラッとダブルにしてみるという変化は意外と簡単にできると思いますし、さほど難しくないチャレンジかもしれません。
まさか、すでにDemob Suitsで出勤したという強者は居ないでしょうね?ちょっとした一服で葉巻を吸ってしまうくらいの雰囲気が出てしまいますから、そんなあなたは管理職クラスであること願っております。

お世話になっております、をさないです。

さて、前回からの続きとなります。

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ブラウンは結構レアだと思います。こういったスーツでブラウンは相当目立つことでしょう。
先ず着ている人はいないでしょうね。ダブルでブラウンのスーツですよ。会社にこのスーツを着ていけるような人は面接時に尊敬する人はチェ・ゲバラです、という人くらいでしょう。
どうしても目立ちたい人、人とは違うことをしたいという人はある一定数いますし、人間の多様性という意味では、そういう人は世界に確実に必要ですからね。
革命家を受け入れる体制の整った会社があるならばそれも良しでしょう。

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これらは両方とも4つボタンで下一つ掛け。こういった4つボタンは基本ボタンホールは下の列にしか開いてないパターンが多いと思います。
着丈も短めというバランス的な理由もあるかもしれません。
このSRCでもお馴染みプリンスことエドワード8世のダブルと言えば、4つボタンの下一つを思い出す人も多いかもしれません。
それもそのはず、40S後半のイギリスを代表するスタイルがこういったモデルなのですから。

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ラペルの表情が少々違いますよね。ブランドが違うんです。ブラウンの方が少々剣先が長めでシャープな印象ですね。やっぱりブラウンの方が少々攻めてる感は強いですね。

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こっちはヘップワース。

好きな人は聞いたことくらいはあると思います。 昔のハーディ・エイミスのスーツを作っていたのはヘップワースです。
このヘップワースは当時もっともイギリスで大きかった既成スーツのマニュファクチャラーでして、1963年にハーディ・エイミスの既成スーツ部門を買収したのが理由で、当時のハーディ・エイミスのスーツにはヘップワースのタグもついています。
今ではヘップワースはNEXTというイギリスのSPAになっています、要はイギリス版GAPみたいなものです。歴史で言ったらNEXTの方が100年ほどGAPより古いブランドなんですけども。
まぁ、GAPの方が俄然有名でしょう。
もちろんCC41。昔はこんなに渋かったんですね。
基本40sくらいまで遡ればそのブランドは全く別物ですから、違う物と考えていただいても結構です。
しかしながら、40sまで遡れるファッションブランドがいったいどれくらいあるのかという話なのですけどね。

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トラウザーズは無論ワイド。
もちろん股上も2本とも深いです。

実はグレーの方がワンサイズ大きいです。

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若干デザインは異なりますが、双方右ポケットの一つ付きになります。

これはCC41のルールかもしれません。CC41のルールも前半と後半ではある程度違いもあると思いますが、戦中はトラウザーズのバックポケットは2つ付けられないというルールもあったと聞きますから、その名残もあるかもしれませんね。

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ダブルは基本ドレッシーなもので間違いないと思います。スポーティなイメージはありません。
そうなりますと、もっとも正当なダブルのラウンジジャケットはベント無し、フラップ無しと言うことになります。
ベントはスポーツ由来ですし、フラップも基本はカジュアル仕様のディテールです。
もちろん、今のダブルのジャケットにベントとフラップがついていてもそれにいちいち難癖をつけるような無粋なことをする人はいないでしょう。

ディーモブスーツ、あなたがスーツをオーダーするとき何かしらのインスピレーションになれば幸いです。

ウェブメディアのファッション関係と言えば、超絶リア充かつ自己顕示欲が地獄のミサワ級でお馴染みのメディアですが、前回のSRCはどうでしたでしょうか?
私的には頑張ってみたのですが、超絶リア充っぷりが出ていましたでしょうか?
それとも行間から滲み出る負のオーラを抑えきれていませんでしたでしょうか?

私も肩肘張らずまた通常運転でいこうと思っていますので、 皆様もまたこの£££!!Savile☆Row★Calling!!$$$をよろしくお願い致します。
お世話になっております、をさないです。

いやはや、オーヴァーコートに飽き気味の私は今回40sのスーツについて書くつもりでしたが、まさかウィキペディアで、しかも日本語でも紹介されていると言うことで、俄然意気消沈気味であります。
しかし、私の仕事が少し減ったので、それはそれで良しとしましょう。

まぁ、40sと一口に申しましても、以前にも申した通りWW2での物資不足から、前半と後半でずいぶんと趣が違います。

今回紹介したかったのはその後半を代表します、"Demob Suits"(ディーモブスーツ、アクセントはeにきます。)。カタカナでは、デモブスーツ(復員スーツ)と呼ばれるようです。
Demob Suits(以降:DS)自体のウィキペディア(英)があることに少々驚いたのですが、まぁ、このスーツはヴィンテージ市場では非常に人気があるスーツでして世界中にファンがおりますので、英語媒体で情報を集めるのは比較的簡単かもしれません。
特にネットでの方が簡単で、文献を探すとなると少々困難かもしれません。通常のファッションが書かれている本には記載がなかったりしますね。
ズートスーツ(米)やその後のテディボーイズ(英)、フランスではZazou(ザズー)等が40s〜初期50sのカルチャーでは大きく取り扱われてしまいますから。結局DSについて書いている暇も無ければ資源(紙)もないのですね。

しなしながら、そのまさかです。DSは外国語では日本語でだけウィキペディアがあります。Zoot Suitsの日本語がないので、そちらの方が先だろう、とは思いますが、物好きな人はいる物ですね(笑)

基本は英語バージョンの翻訳となっているみたいですから、英語を読む必要はさほど無いでしょう。"復員スーツ ウィキ"でググってみてください。
きっとこれを翻訳したのは服狂人である皆様のお友達なことでしょう。

<小休止>

ウィキペディアでの勉強は済みましたか?それでは皆様には現物を見ていただくと致しましょう。

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これらが、噂のDS です。
eBayで探してみますか? 見つかりましても世界中のお友達との争奪戦になりますから、状態、サイズが良いモノを勝ち取るのは少々至難の業ですよ。
とは言いましても今はポンド安ですから日本の皆様にはそこまでびっくりした価格にはならないかもしれません。ポンドで勝負しないといけない私では勝ち目がありません。
まぁ2着手元にありますから、いまさらもう一着喉から手が出るほど欲しいと言うわけでもありませんが、ブルーのチョークストライプがあるのなら、欲しいかもしれません。
正直ブルーでシンプルな白単色のストライプは一番人気があるモデルだとおもいます。まぁ、そう簡単に手に入りません。私が持っていないのだから、簡単に手に入らないのは皆さんでも想像つくでしょう。
後は、こういったプレインの物が人気ですね。マルチストライプよりプレインの方が人気は有ると思います。

ウィキによればDSはシングルもあるようですが、大体40SのDSといえばこういったダブルのスーツを想像するのが通常です。

着丈にもトレンドがあるのは以前にも言ったとおりですけども、40年代は全体を通じてもやや短めだと思います。(上にあげたユースカルチャーは一般のトレンドとは違いますから、省きましょう。通常の大人が着るサイズ感のお話です。ズートスーツ等は過去100年で見れば一番長いのでは無いでしょうか。)
まず、前半は物資不足で長めの着丈で服が作れなかったことが理由になります。その流れもあり、後半も短めといった感じなのでしょう。

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ダブルのスーツがトレンドに戻ってきているという報告も受けます。ですが、まだまだ我々の所に来る仕事でダブルのジャケットがシングルを超えることはありませんし、基本少数派です。
きっと、この40s後半が一番ダブルのスーツがファッションであったように私は思います。
イギリスでダブルのスーツと言えば40Sなのです。(あまり詳しくないイギリス人に聞いてもそうは返ってこないかもしれませんが、ちょっと興味のある人に聞けばまずLate40sと答えるはずです。)

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Burtonをここで説明するわけにはいきませんので、是非各々で自習と致しましょう。非常に歴史のあるブランドでして、スーツのマスメイド化はこのブランドを外しては語れないくらいのブランドです。
CC41がつくバートンはちょっと簡単には手に入らないかもしれません。
正真正銘のDSを探している人はぜひCC41が入っているのを買いたい物です。
ちなみにバートンはブランドタグで簡単なデイティングが出来ます。この40Sに見られるタイプのタグがヴィンテージ市場でも人気がありますね。ざっくりといいますと30s〜50s前半くらいまではこのタグだったはずです。(もっと細かく調べたい人は色々調べて出てみてください。もしくはいつか別の機会に少し詳しくやってみましょう。)

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パンツは基本ワイドです。
裾巾30cm近くあるわけです。どうでしょうか?こんな感じのワイド感も今ならちょっと気分です、なんていう人もいるのでは無いでしょうか?
ってことは、意外とここら辺のDSは今着てみても "お、攻めてるねぇ〜" 位に思われる程度で、40sだと気づかれないかもしれません。まぁ、それはそれでちょっと寂しいですけど。

この2つのスーツの写真と解説がまだありますので、次回に続けると致しましょう。

前回も話しましたが、今回はちょっとばかしオーヴァーコートから離れてみることにしましょう。
中休み的な感じです。
おせわになっております、をさないです。

"スタイルのある大人になりたい。" そんなことを皆さまも思っているかもしれません。
もうある程度、決まったスタイルを構築している方ももちろんいることでしょう。
しかしながら、私も歳を取り、田舎に引っ込んだとしましても、長いことロンドンにも住んでいましたし、仮にも芸術大学を卒業したわけでして、時々舞い込んでくるのです。非日常への招待状が。

結婚式であったり、ちょっと堅めのパーティーであれば寧ろ私のフィールドですから、スーツなどを着込めばいいわけです。
それではこんな時、皆様ならどうするでしょうか?

一ヶ月ほど休み無く、本来若干暇なはずの2月を早足で駆け抜けてきました。
"ちょっと今週末はゆっくりしたいね" と話していた所で、ちょっとしたメッセージが入りました。

SUM41のDave"Brownsound"Baksh からでした。
"ロンドンでライヴがあるから来てくれ"という事でした。

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紆余曲折があったものの、またシーンに戻ってきたSUM41。デリックが死の淵から生還し、デイブが戻ったはじめのイングランドのツアーは見に行けなかったため、今回のロンドンには是非参加しようということになりました。

昔はよくライブにいきましたが、今は数年に一度あるかどうかという非日常です。
しかも、SUM41はばりばりのパンクバンド。デイブお得意のヘビーメタルな重厚なリフも完全に復活した往年のSUM41サウンド。

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そう、問題は何を着ていけばいいのだろうか、ということでした。

意外と強心臓の持ち主だと疑われがちな私ですが、昔から"大事なPKは蹴らすな"、でお馴染みのノミの心臓の持ち主です。
まさか、パンクのメッカ・ロンドンでのライブ、場所はかのブリクストンアカデミー(私の想像で川谷エノンさんがライブしていたあのブリクストンアカデミーです。)に、ツイードのカントリースーツで参加するわけにはいきませんし、ヘビーウエイトのコーデュロイトラウザーズをブレイシズで吊るわけにもいきません。
いくらあなたがすでにできあがったスタイルをお持ちだとしても、ある程度のTPOはわきまえたい。

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まずレザージャケットなんて着る事も無くなってしまったのですが、実は昔取った杵柄で一着だけ、こういったロック・オケージョンのための洋服も私は持っていたりします。
私は少しクラシックな結婚式に参加するときのモーニングスーツを着る感覚で埃の被ったダブルのレザージャケットに袖を通してみました。

"うん、悪くない!"

せっかくのロック・オケージョン、これを逃せば私がレザージャケットを着る機会なんていつ来るか分かりません。
このために取っておいたと言っても過言ではないのです。

ちょっとまってください、と。今回は私とアリス二人でしかも、一泊の予定です。これはいくらライブへはゲストとしてタダで入れるとしても、電車代だけでかるく£100を超えてきます。
ですので、ここは車でロンドンに行こうと言う話になっていました。

さて、ここでまた問題があります。

私たちの車はMiniなのです。
さすがにこの可愛い車体、挙げ句の果てには後ろには大きくCOUNTRYMANと入っております。(私もさすがに車は趣味と言うより、実用で選んでおります。本当はVintageのディフェンダーに乗りたいのですが、きっと私には維持できないでしょう。)
さすがに、COUNTRYMANにダブルのライダースで運転したくありませんでした。

人によっては、"うしろに積んでおいて、ライブの時に羽織ればいいじゃない?"と言うかもしれません。
しかし、私はダブルのライダースを後ろに積んでおいて、ライブでだけ着る、みたいな割り切った関係性でライダースを着たくありませんでした。

極端な話、ダブルのライダースはファッショントレンドになったりすることもありますが、バイクも乗らないおしゃれ着ライダースは別として(無論バカ高いブランドものも含め)、それは一種の宗教であり、ファッションでなく魂だったりするわけです。後は無論バイク乗りの実用着でもあります。(私にはそこまでの信仰心はないわけですが、)
それを、Miniの後ろに積んでライブ会場でだけ着る。それを私は許すことが出来ませんでした。

私がレザージャケットを着るときは、その日一日家を出たときからロックであり、パンクであるわけです。それが非日常を全力で楽しむ哲学であったりします。

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ブリクストンにあった奇妙な靴屋

さて、私はもう一度悩みました。

私の持っている一番細い、スキニーと言うよりもジェギンスに近いパンツに足を入れてみました。
ロックというよりゲイでした。
パンクと言えばスキニーですが、私の足はパンクと言うよりロベルト・カルロスのそれでした。お尻もフラットではなく、完全にキム・カーダシアンでした。

アリスはそれを見て日本語で "超ゲイ!"と突っ込んできましたが、私もそれに100%同調しておりました。そしてすぐに脱ぎました。

そして "よし!" と一呼吸入れ、いつ買ったかも覚えていない、一度も履いていなかったAcne Studiosのグレーのタイトなジーンズに私という戦うBodyとキムカー尻をねじ込みました。
はじめは久々のこういった類のパンツに違和感もありましたが、意外とすんなり馴染みました。
ほんの少しロールアップなんかしたりして、ちょっと靴下をみせたりもしました。
こうなったら、(テーラード)ジャケットはチャコールグレーのシングル一択です。
シャツが一枚着れるくらいのジャストのフィッティングでスクエアショルダー。
アンストラクチャーも物、なで肩の物より、従来のイングリッシュっぽい物をタイト目に着る方がシャープに見え、00年代のディオールよろしく、ロックな表情だと思います。さすがに私が着たジャケットは80年代のSavile Row製を自分でオルタレーションした物でして、最近の既製品はさすがに持っていませんでしたし、着る事も無いと思います。

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<ロンドンのヴィンテージショップではこんな犬の置物を見つけました。
きっと、犬種は志村犬だと思います。>

下に合わせたシャツはちょっと起毛感のあるプルオーヴァーでフレンチの30s。通称グランパシャツと言われている着丈が長いものをパンツにタックインしないで、レイヤードにしてみたりしました。
完全に洒落感ぶっこんでます。
黒のマーガレットハウエルのキャップにDover Street Market Tokyoと大きいロゴが入ったマフラーまで巻いて。ファッションやってます感を垂れ流してみたりもしました。(今だったら、バレンシアガのベースボールキャップの方がやってます感が出たとおもいますが、さすがに持っていません。まだ買えますかね?)

極めつけはジャケットの下の方に付けられたゲスト用のステッカーをチラ見せしながら、会場入りを今かと待ち列を作るファンを横目に裏手に回る、その感じ。

完全にかましてます。

私ファッションやってまぁす、と全力で手を上げ、しかもステッカーでかましてます。
インスタグラムに上げ忘れたのが心残りです。(♯ファッションやってます)

勘違いしないでくださいね、寧ろここまできたのなら俄然かましていく方が気持ち良いのではないかと思うくらいなのです。
ライブイベントなんてものは、かます人間とかまされたい人間が集まるものですから、斜に構えていても仕方がないでしょう。

まぁ、私は普段は基本的にはかまされたい側ですし、誰かがかましてくれるのを待っている、楽しみにしている側です。

体力的にも精神的にも疲れた私は次の日ロンドンを出る際、寝間着のために用意したナイキのスエット上下で帰路につくのでした。

後々、考えてみたのですが、ツイードのスーツで参加する方がある意味パンクだったのでは無いかと少し後悔もしております。

いやはや、随分長いこと続いております、このオーヴァーコートの件ですが、さすがに飽きてきたことでしょう。
私はまだまだ話し足りないのでこのまま続けるつもりですが、今後どこかで息抜きも必要でしょうか?
お世話になっております、俄然雪国出身、をさないです。

それでは今週のコートはこちらです。

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タイトルにもあるのですが、前々から言っているとおり別にシングルチェスターフィールドコートでもいいですし、トップコートっと呼ぶ方もいるかもしれません。そのような丈感と軽快さは写真でも分かると思います。
一応、一番の特徴が完全なサックフィッティングにあるので、タイトルをこのようにしました。

このコートは写真では分かりづらいのですが、ダーツが一切ありません。あごくりダーツ(あご癖ダーツ?)、英名ラペルダーツの類もありません。
サイドパネル(サイドボディー)もありません。
非常にシンプルなオーヴァーコートです。
ちなみにこれは既製品ではなくビスポークです。まぁ、無論バサッと羽織るだけなのですが、ビスポークです。

状態はこの通りさほど良い物ではありませんが、私はこういったタイプのコートはこのぐらいは全然気にしないで着てしまいます。シティでのビジネスでは無理でしょうけども。
アンティークフェアにて二束三文で買いたたきました。

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ブラウンのツイードはヘリンボーンにオレンジのオーヴァーチェックがはいっております。渋いですよね。これは無論ヴィンテージものですけども、こういった生地は逆に今では結構旬な気分でしょうか?
リチャード・アンダーソンの今春夏のハウススペシャルの生地がヘリンボーンにオーヴァーチェックの物でした。
今でも探せば全然見つかります。

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状態は見ての通りです(笑)。
まぁ、こんなこというのもなんですけども、ツイードのコートはここまで傷んでようやく完成を見ると言ったところでしょうか。
人間の皺もツイードのほころびも、まぁ似たようなモノでしょう。
虫食いの穴はまた違う感じなので、少ないに越したことはないのですね。
虫食いはどうしても雰囲気が悪い。

サイドシームとセンターバックシームだけで構成されているのが分かると思います。

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フラップ裏はフランネル。
そして、ポケットの中にもう一つポケットがあるのわかりますか?
前にも言及していますが、このポケットがなんでしたっけ?

(小休止)

チケットポケットですね。
もうこの際言ってしまいましょうか?
"チェンジポケット"と言う言葉は我々は基本使いません 。アメリカでは知りません。(トラウザーズにはもしかしたらあるかもしれません。こんどカッターさんに聞いておきます。)
きっと、小銭を裸で持つのを推奨していないのと(汚いですし、衛生的にも生地にもそのほうが良いでしょう。)、そして今ではカードでの支払いが結局メインだからという理由でしょう。

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袖はワーキングカフ。
昔のオーヴァーコートでは意外と少ない仕様かもしれませんね。

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フロントのうち合わせ。
オーヴァーコートではシングルでもある程度ラップオーヴァーしたいので、ボタンの位置はこういった感じになります。

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Pope & Bradley 50sのものです。調べたところ2015年あたりはSNSもがんばってアップしていた模様ですが、現在FacebookのページではどうやらステイタスがPermanently Closedになっていますので、閉まってしまったのかもしれません。1917年創業でした。
どのようなビジネスでも100年続けるという事がどれほど難しいことなのかは誰でも分かることです。何かを10年続けることさえ難しいのですから、100年なんて気が遠くなりそうです。あと、少しで創業100年ですよ。悔しいですね。

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手縫いのピッチも細かくて丁寧です。
初心者でも一発でビスポークメイドだと分かる場所がこの辺りでしょう。
パディングマシーン(ハ刺しのミシン)と手縫いのパディングの違いは皆さま各々で自習という事にしておきましょう。そんなに難しい物ではありませんよ。

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イギリス物のインブレストポケットはだいたいこのようなダブルジェティッドになります。特に50sだと間違いないでしょう。

このボタン、<??>になった人は正解です。
これはシングルのコートでしたよね。ダブルであれば、内側にこのようなボタンがつきますよね(通常レフトサイドですが。)
これはスペアのようです。
ですけど、ビスポークのコートにスペアのボタンを付けるのを私はこれ以外に見たことはありませんので、実はあまり見ないものです。

ぱっと見では当たり障り無いコートですが、以外とおもしろいポイントが詰まっている一着です。

ここ最近徐々に暖かくなってきておりますね。
もうそろそろコートもライトウエイトの物に変えている人達も増えているのでは無いでしょうか?
俄然重衣料をフィーチャーしております、お世話になっております、をさないです。

今回は私が個人的にも気に入っております、こんなコートはどうでしょうか?

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DBチェスターコート。
もうこの写真を見ただけでずいぶんと雰囲気のあるコートだとおわかりいただけると思います。
ずいぶんと肩幅が狭く見えているかもしれませんが、至って普通です。実はラペルが5 ¼"(13.5cm)もあるせいです。

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こちらは既成のヴィンテージになります。だいたい30s位の物だとディーラーさんも言っていましたが、私の見立てでも同じく30s(もしかすると、もう少し古いかも?)といった所でした。
メーカーもテーラーの名前も何もないので、こういった買い物をしたことのない人であれば、"どういった所で判断しているのだろう?"と疑問に思う人もいるでしょう。
無論、炭素14で調べているわけではないので、細かいディテールはもちろん、カッティング、あとはもちろん雰囲気と言った感じでしょうか。
何か一つで判断しているわけでは無く、経験ももちろん加味されてしまいます。

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けっこう傷んでます。が、それも込みで好きなんです。
実はこの傷すら良い感じの雰囲気にしてしまうのはこの生地のなせるワザとでもいいましょうか、きっと、今はあまり目にしない生地かもしれませんね。私もこの生地で仕事をしたことはありません。

さて、それではこの生地はなんでしょうか?

(小休止)

これが、実は前回話にも出てきた、カルゼ(日本名)、正式にはKerseyとよばれるものです。

それでは今回は "テキスタイル百科事典" からカルゼ(Kersey:カージー)の所を抜粋させてもらいましょう。

~畝のはっきりした右綾の毛織物で、やや毛羽があり光沢がある。梳毛が多いが、太めの紡毛糸を密に織り、縮絨し、起毛して、軽く剪毛(毛羽を切り取る)したものも多い。綿のカルゼは杢糸と染糸を使って霜降り効果を出した物が一般。毛織物はコートやスーツ、綿タイプはユニフォームなどに。イギリスの毛織物都市Kerseyで織られたたのが名の由来とされ、欧米では<カージー>と呼ばれる。カージーという場合はメルトンやビーバー・クロスに似た毛羽の長い紡毛織物を言う場合もある。~

これはオーヴァーコート生地のカルゼでして、紡毛糸を密に織って、縮絨させた厚みのある生地です。
このタイプは裏と表で全然表情が違っていまして、裏面は逆に皆様が良く聞く"縮絨ウール"と言えば想像するようなテキスチャーになっております。
すごく暖かい生地です。
私はこのコート以外でしたら、スーツでも一着、カルゼのブルーの3ピースがありますが、無論ヴィンテージになりますね。もちろん、秋冬用のスーツです。
<カージー>はピーコートでも有名です。それはまた今度。

まぁ、今ではあまり見ないですよね、きっと。ですから、普通の生地に飽きた方がいましたら、探してみてください。
通常の綾織物よりナナメの畝が目立つので、作り手側もちょっと新鮮だと思います。

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ライニングもご丁寧に右綾になっています。よく見るとサイドシーム下方には生地が足されてありますね。こういう仕様の仕事はしたことありませんね。

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インブレストポケット。
この辺の表情は実は色々なことを教えてくれます。
まずこの揉み玉縁ポケットからはある程度の時代感が伝わります。
今のジャケットでもそれこそ昔の物をサンプリングして作ったものであれば、こういった仕様は見ることは出来ると思いますが、普通敢えてこの仕様で作るテーラーはそういないと思います。
現在のサヴィルロウではまず作りません。なので、このポケットを英語でどう言うのかカッターさんの口から聞いたこともありません。(きっと"パイピングポケット"で良いと思います。強調したいのであれば、"ナローパイプド・ポケット"とかになるでしょうか。ジェティッドというような印象ではないのかな?)
そして、この特徴的なライニングのトリミングの仕方は非常に古風なフランス顔です。無論、おフランスのコートと言うことになります。
服狂人の中には一枚目の写真でフレンチっぽいな、と分かる人も居たかもしれませんね。そんなあなたは私の予想では5%の服狂人、穏やかな心を持ちながら(明らかな草食系)激しい怒り(過度な浪費から来る自分への憤り)によって目覚めた伝説のスーパーガチヲタキモ服狂人です。(良い意味でも、そして無論、悪い意味でも。)
きっと、大きなフランスのその中のパリだけ(特にシャンゼリゼ通り、サントノーレ通りを中心に)見て、フランスのファッションを語ってしまう人には一生到達できない伝説の戦士達です。

※私は無論フランスを語れるほどではありません。あしからず。

スリーブライニングも非常に古いタイプのライニングですね。

この写真を見ただけでもまず40sではなく、新しくても30sだろうと予想できるとおもいます。

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既製品のジャケット、またはコートのゴージラインが手で処理されていれば、それはそういう古き良き時代の既製品だということです。今の時代でこの仕様であれば、ごく普通のウールで作っても数十万するコートになってしまうかもしれませんね。(無論、ファンシーなグランドタグがつけばなお良し)恐ろしい時代です。

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チケットポケットは基本レフトフェイシング

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このクロスポケットはパッと見では両玉ですが片玉です。この辺りも時代感を教えてくれます。
私の経験則からいいますと、両玉は40sくらいから増えてきますが、それ以前では逆にあまり見ない印象です。むしろ、20s、30sでは両玉を見つける方が難しいくらいです。

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このアンダーカラーの処理、こういったミシンステッチでも何となく時代感を感じることが出来ます。

あとは、袖付き(または袖のカッティング)、ショルダーシームの入り方など古ければ古いほど当時の特徴が出てきますから、その辺も調査対象にはなるのですが、少々テクニカルすぎますので、また、もっと古いガーメントを見ていく際に話せれば良いかなぁ~っと思っております。

俄然Overcoatについてお送りしています、お世話になっております、をさないです。

前回でナンバリングが10に達してしまいましたので、少しばかし空気の入れ換え程度にタイトルを変えてみました。しかしながらやっていることは全然変わらないと思いますので、そう狼狽なさらずに息を整えて、今まで通り肩の力を抜いてごらんになってください。

今回はカバートコートです。写真が多めですので、どんどん行きましょう。

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繊研新聞社のファッション大辞典ではカバートコートをこう書いております。

~カバートと呼ばれる生地(日本ではカルゼともいう)でつくられたトップコートを指す。ウエストを軽く絞った感じの軽快な雰囲気のハーフコートの物が多く見られる。~

それではそのカバートはどうでしょう。

~霜降り調を特徴とした綾織あるいは朱子織の生地。本来はコットンやシルク、また合成繊維などとウールとの混紡で作られたウィップコードを指し、日本では俗にカルゼと呼ばれる生地がこれに当たる。なお、カルゼは英語のカージー(Kersey、厚手綾織物の一種)が日本語に転訛したものとされる。カバートクロスともいう。~

なるほど、日本語の辞書ではこのように表現されております。
別に今から、これを否定していくとかそういった破壊行為に勤しむわけではありませんからご安心ください。
是非これらをすんなりと受け入れてください。

現実問題と致しましては、言葉はそれが持つ定義よりも漠然と理解されている事も多く、実際は"カバートコート"もより幅広く取り扱われることもありますし、本国イギリスでもあやふやに使われております。

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このカバートクロスと言われる物は、まぁ重たい。それじゃなくてもイギリス仕立てのフルビスポークなんてものはある程度の重たさになってしまいます。
イギリスでオーダーしたことのない人であれば、ちょっと驚くほどの重さかもしれません。
それをこのカバートクロスでもって本場イギリスで仕立てたのなら、そりゃこの重さになるわけです。
ジャケットより少し長いくらいの丈ですが、2kgを軽く超えてきますからね。

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3ボタンのフライフロント。
カントリーサイドのスポーティなコートですから、軽快さと防寒性も必要となります。当時の答えがこのようなコートを生んだのでしょう。

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この小さいなフラップのポケットはもうSRCにお付き合いいただいております皆様にはおなじみでしょう。

(小休止)

アウトチケットポケットですね。"OTP"にチェックが入っていますと、我々はこのポケットを作らなくてはなりません。
日本ではチェンジポケットと呼ぶ方も多いようですが、間違っても裸の小銭をジャケットのポケットには突っ込まないでしょう。
ましてや、日本ではジャケットのポケットは使ってはいけないようですから、もうこの際単なるデザインでしかないのかもしれません。

"ポケットに物を入れたら、形が崩れるから普通は使わないから!"と友達に啓蒙して回る今話題の宗教家のような、あなたのこだわりの哲学を別に否定はしません。
しかしながら、そこまでこだわっている人にかぎってスーツに女性物のトートバッグを肩にかけ、スーパーモデルのキャットウォークさながらに腰で歩いていたりするので、その辺のちぐはぐな感じはどうでも良いのかと少々疑問には思います。
その上、アビエーターサングラスなんかをかけていてくれればツッコミを待っているのか、それともガチでお兄さんに後ろから突っ込まれたい人なのか、少々こちらも困惑してしまいます。
その恰好でロンドンのオールドコンプトンストリート辺りを歩いているのなら後者だと分かりやすいのですが、東京だときっとその辺の判断は難しいですよね。

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ブランドは"Frank Hall"というイギリスの田舎、Market Harboroughにあります。
ライディングウェアを得意としている、100年以上続くロイヤルワラントホルダーのビスポークテーラーです。
Savile Rowではホーランド&シェリーでアポイントをとれるようです。

このコートがファッション仕様というよりも本格派なカバートコートだとご理解いただけると思います。

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ここら辺の上襟の仕様は非常にスポーティですよね。

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さてさて、ここが見物の超特大ポケット。
洋服についているポケットでこれ以上に大きなポケットを私は見たことがありません。
一応 "ゲームポケット"と呼ぶのがよさげなサイズのポケットですが、ライニングは水分に弱いですから、本格的に採った、ウサギや鳥の為につけたのかは疑問が残ります。
正直なところでは、パブなどでお茶をするときに帽子、マフラー、手袋等の身にまとう物を全部突っ込むためのポケットだと私は思います。
これ、意外と必要です。
以前にオーヴァーコートにマフラー用の大きめなポケットを作ったことがあります。着ていないときに使うポケットは意外とあるんです。そして、結構便利だったりします。

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こういった本格的なカバートコートは今ではほとんど見ること無いでしょう。
いったい、いつくらいに作られた物か想像できましたか?

実は2000年とそこまで古い物では無いんですね。
まぁ、田舎で馬でも飼っていない限り一着目に作ろうとは思わないコートでしょうが、クラシックな車なんかとは相性が良いかもしれませんね。

ともかく、イギリスでは馬は非常に人気のある動物です。
イギリスの女の子は99%馬好きだとイギリス人の友達は言っていましたし、実際大学時代のクラスメイトでも、馬がいるから田舎から通っているという娘もいました。
いやはや、我々も田舎暮らしで週一ロンドンに通えば良いと言うくらい、ゆっくりとジャケットなんかを作って生活しているわけではありますけども、さすがに馬を飼うほどどっぷりなカントリーライフに没頭しているわけではございません。

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センターベントは結構深めですね。スポーティです。

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オーヴァーコートのフラップ裏はライナーでは無くウールフランネルまたはメルトンなどの厚みのある物が使われる場合が多いです。
バッグにはコットンフランネル。日本人のテーラーさんはこの前コットンベルベットを使う事もあると言っておりましたね。基本、起毛素材は体感温度が暖かいですから。

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